【体験レポートあり】神話の舞台 長野「戸隠神社」へ~文化・自然・歴史が融合する国立公園とは~
パワースポットとして人気の高い長野県・戸隠は、神秘的な造形の戸隠山が作りだす絶景の宝庫。日本神話に登場する伝説も残っており、パワースポットを巡りたい方にはぜひ訪れていただきたいエリアです。
長野駅から戸隠までは、公共交通機関のみで行くことができるので、車の運転が苦手という方でもアクセスしやすいのも、おすすめの理由のひとつです。
この記事では、戸隠神社を満喫するための一歩踏み込んだ情報をご紹介。最新体験レポートもお届けします。実際に行ってみないと感じ取れない、知られざる魅力にあふれた戸隠についてご紹介しています。是非、最後までチェックしてみてくださいね。
戸隠神社の観光情報・周辺のおすすめ観光スポット
長野県 戸隠エリアの基本情報
長野県長野市から市街地を離れて北西に進むと、雄大な山々と自然が広がる戸隠高原が現れます。ここはかつての戸隠村(現在は長野市戸隠)が存在しており、
日本神話や古事記に登場する天岩戸伝説と深いつながりを持つ地域で、古代から続く文化と歴史が息づいています
。
戸隠神社は、奥社、中社、宝光社、九頭竜社、火之御子社の5つの社から成り立ち、戸隠山の麓に位置し、戸隠の神々を祀る神社です。
山岳信仰や自然とのつながりが根付いたこのエリアでは、戸隠山や戸隠神社を中心に、豊かな自然環境と神聖な歴史が共存しています。このことから、神聖な雰囲気が漂うパワースポットとしても人気があります。戸隠は平安時代には修験道の修行場としても重要であり、その歴史に育まれた食文化である「戸隠そば」も有名です。
標高2000m級の山々で囲まれた戸隠連峰のふもとに位置しているため、車で向かう際は山道を通ることになります。長野駅から戸隠神社奥社の参道入り口までは、路線バスでのアクセスが可能です。宝光社、中社、奥社周辺には歴史ある宿坊や山小屋風など特徴ある宿泊施設も多くあり、ゆっくり滞在したい場合は、1泊2日以上のプランを立てることも可能です。
また、長野市周辺での観光スポットである善光寺や小布施エリアと併せて戸隠を訪れるのもおすすめです。
古事記に記される神話 天岩戸伝説ゆかりの地
戸隠の地には天岩戸伝説をはじめとする神々の逸話
が、日本神話として伝えられています。古代のある時、
天照大御神(あまてらすのおおみかみ)が天の岩屋にお隠れになり、世界は暗闇に覆われてしまいます
。八百万の神々は天安河原に集合し、岩戸を開く方法を模索します。そこで、天宇受売女命(あまのうずめのみこと)が卓越した舞を踊ります。それを見た神々のどよめきを聞き、不思議に思った天照大御神が岩戸をわずかに開いてしまいます。そのすきに、
怪力の手力雄命(たちからおのみこと)が岩戸を掴み押し開き、天照大御神を岩屋の外へと引っ張り出します
。その時に手力雄命が、
遠くへ投げやった岩戸が下界に落ち、それが戸隠山になったと言い伝えられています
。
伝説の神々が祀られている戸隠神社には、奥社・中社・宝光社・九頭龍社・火之御子社の戸隠五社が存在します。古くから信仰を集めてきた神社の御祭神とご利益をご紹介します。
奥社(おくしゃ)
天の岩戸を開いた天手力雄命(あめのたちからおのみこと) が祀られています。 約2kmの道のりを歩いてしか参拝することのできない場所に佇まい、参道には天然記念物に指定されている樹齢約400年を超える杉並木が続いています。 戸隠神社の御本社となり、 開運、心願成就、五穀豊熟、スポーツ必勝などのご利益 があります。
中社(ちゅうしゃ)
天照大御神を再び外へお連れするために、 歌や踊りの祭り岩戸神楽(太々神楽)を創案した天八意思兼命(あめのやごころおもいかねのみこと) が御祭神です。境内には 樹齢700年を超えるご神木、樹齢800年を超える三本杉 が存在しています。学業成就・商売繁盛・開運・厄除・家内安全のご利益があります。
宝光社(ほうこうしゃ)
中社祭神の子にあたる神、天表春命(あめのうわはるのみこと) が祀られています。鳥居をくぐり狛犬に迎えられ、郷家270段余りの石段を登り参拝します。 女性や子供の守り神としても知られており、開拓・学問技芸・裁縫、安産のご利益 があります。
九頭龍社(くずりゅうしゃ)
奥社の程近くに並び、 水と豊作の大神の九頭龍社大神(くずりゅうのおおかみ) が祀られています。 古くから水の神、雨乞いの神、虫歯の神、縁結びの神 として尊信されており、 心願成就や縁結びなどのご利益 があります。
火之御子社(ひのみこしゃ)
岩戸の前で舞い踊った天鈿女命(あまのうずめのみこと) が御祭神となります。 その舞が「神楽」のはじまり ともいわれており、現在も神様に願いをお伝えする神事が執り行われています。 舞楽芸能、縁結び、火防のご利益があります。
自然豊かな 妙高戸隠連山国立公園
戸隠神社は、新潟県と長野県の県境をまたぐ妙高戸隠連山国立公園内に位置し、周辺には個性豊かな山々が広がっています。
日本百名山に名を連ねる戸隠連山は、日本有数の豪雪地帯であり厳しくも美しい自然と共存する人々の暮らしや山岳信仰が育まれてきました。
火山活動による窪地にできた鏡池、戸隠神社奥社の参道にある樹齢400年の杉並木、樹齢800年の中社の三本杉、森林の間から現れる戸隠山
、など、聖域ならではの幻想的な絶景が点在しています。
また、多くの野鳥が飛来することでも知られており、日本で初めてラジオ放送で野鳥の声の生中継が行われたのもこの戸隠の森でした。秋には、黄葉から紅葉まで様々な樹木により、森一帯が見事なグラデーションで彩られます。冬は、雪が降り積もる景観に神聖な雰囲気を感じられるはず。スノーシューでのハイキングもこの時期ならではのアクティビティです。
おすすめの観光スポット・体験ツアー
戸隠神社への旅行を計画している方におすすめの観光スポット、体験ツアーをご紹介します。
戸隠五社巡りガイドウォーク
戸隠の地元ガイドが戸隠神社の歴史や自然を伝えながら、五社巡りをご案内。知識豊富なガイドと一緒に巡ることで、いままで知らなかった戸隠のあれこれを楽しみながら参拝することができます。ベルトラ限定「戸隠そばのお土産」付き。
宿坊体験(久山館)
戸隠エリアは、鎌倉時代には高野山や比叡山と同じく、重要な霊場として認識されていました。当時は宿坊も多く「戸隠三千坊」と形容されるほど栄え、いまでも多くの宿坊が現存しています。なかでもより深い歴史を持つ旧本坊勧修院久山館では、筆写体験や朝拝、宿泊が可能です。
E-bikeサイクリング
自由に観光地を巡りたい方はE-bikeでのサイクリングがおすすめです。山岳地帯のため坂道がたくさんありますが、電動アシスト機能のついたE-bikeであれば移動も楽々。美味しい空気を味わいながら、サスティナブルでエコな旅をアシストします。
ジビエ料理(山の庭タンネ)
戸隠には、登山者も多く、自然と共に生きる山小屋も宿泊施設として利用できます。猟師の親子により提供される山肉料理をはじめとした地元の食材で表現する戸隠テロワールを堪能してください。
人と自然が共存する森~国立公園だからこそ守られるありのままの姿~
ここからは実際に私がエコツアーに参加した体験記をお届けします。
暑くて長い夏がやっと終わった10月、空高く心地よい風の吹く戸隠へと行ってきました。エコツアーを意識して、この日は公共交通機関を利用して戸隠へと向かいます。長野駅を出発したアルピコ交通の路線バスは、にぎやかな街並をはなれ、いつしか曲がりくねった山道へ。約1時間半後、「戸隠奥社入口」のバス停に到着します。
奥社へと続く道 樹齢400年の杉並木
奥社参道の入り口にて戸隠観光協会のガイドさんと合流、聖域 戸隠神社奥社へのウォーキングツアーがスタートします。ところどころに残る石碑の由来、不思議な形をした花や植物の生態、そびえたつ杉の大木がねじれているその理由など、 この参道には戸隠のトリビアが無数に散りばめられています 。そのひとつひとつを、ガイドさんと紐ときながら進みます。面白くて興味深いガイディングで奥社までの2kmの道のりもあっという間、 歩きながら映えスポットで写真撮影できるのも、ガイド付きツアーならでは です。参道から奥社までは、比較的平坦な道が続きます。舗装されていないので歩きやすく履きなれた靴がおすすめです。参道の最終地点、少し急な階段を上ると目的地の奥社へ到着です。奥社と九頭龍神社への参拝をし、視線を上げると、険しい戸隠山の姿が木々の間から、のぞいていました。
これぞ戸隠テロワール 森の恵みを味わう宿
奥社への参拝の後は、今宵のお宿、「 山の庭 タンネ 」さんへ。
落ち着いた趣のあるお宿にてウェルカムドリンクをいただいた後、しばしのリラックスタイムです。部屋の窓外には視界いっぱいに森が広がり、 梢を揺らすやさしい風の音に包まれます 。石造りのお風呂のお湯はなんともまろやかで、歩き疲れた身体がじんわりとほぐれてゆくのを実感します。
とっぷりと日が暮れた頃に、お待ちかねのディナータイム。 森の恵みをふんだんに使い、丁寧に調理されたお料理が、ゆっくりとしたペースで食卓にサーブされます。 「 長い夜を、どうぞゆっくり楽しんでくださいね 」、宿のご家族の暖かいメッセージが伝わってくる素敵なひとときです。旬のきのこを使った前菜にはじまり、お魚、メインのジビエは戸隠で獲れた猪のソテー。ひとくちごとに広がる滋味は、まさに口福。スペインの赤ワインが、ジビエの旨味をしっかりとひきたててくれました。
プロフェッショナルによる保全活動のお手伝い
2日目は、このツアーのメインイベントの一つでもある自然の保全活動へ参加。集合場所の「
八十二 森のまなびや
」へと向かいます。ミッションは、敷地の中にある、みどりヶ池の水草の除去と遊歩道の草刈りとウッドチップ舗装。
池に広がる水草は、一見、美しく見えますが、水面を覆ってしまうことで水面下へ日光が届くのを遮断していまいます。この状態を放置すると、池はやがて沼と化し、最後は池自体が消えてしまうとも言われています。そんな状況を防ぐために、定期的にこの水草の除去が必要です。2人乗りの小さなボートで池へ漕ぎ出し、軍手をはめて水草をかきとっていく作業は簡単そうに見えてなかなか大変!この道のプロからアドバイスをもらいながらなんとかバケツ1杯分の水草を集めることができました。国立公園内では、池でボートに乗ることは通常は禁止されており、この保全活動の目的においてのみ可能とのこと。貴重な体験をさせていただきました。
遊歩道の草刈りは、鎌をつかって刈っていきます。草を刈ることで曲がりくねった遊歩道の見通しを良くし、熊との突然の遭遇を避ける効果があります。
怖がりな熊が安心して森で暮らせるよう、この草刈りも国立公園の中では必要な作業のひとつとのことでした。
約2時間の保全活動が終了し、ツアーも無事終了。霊験あらたかな戸隠神社への参拝、山の幸を味わい、最後は自然を守るための保全活動。癒しとたくさんの学びの詰まった1泊2日戸隠の旅でした。
自然と歴史に包まれる”パワースポット”戸隠
自然と歴史を一度に満喫することのできる戸隠。 訪れた人々になにかを感じさせるパワースポットとして、この森が現存されているのは、 国立公園として定期的な保存活動が行われていること に依るのかもしれません。長野駅からバスでも手軽にアクセスできるのも、この地の魅力のひとつです。人と自然の共存する森、戸隠ならではの独特な世界を体験しに、ぜひ一度訪れてみてはいかがでしょうか。
出典・参考
やってみよっか?