【京都】伏見稲荷大社の初午大祭で福参り!清少納言もお参りした初春第一の行事を徹底解剖
伏見稲荷大社は、SNSでも注目の千本鳥居で有名な神社です。近年は日本国内よりも海外からの観光客の方が多く、日本でも有数の観光スポットとなっています。
その伏見稲荷大社最大の行事が今回ご紹介する初午大祭です。毎年2月に入って初めての午の日に行われる初午大祭は、伏見稲荷神社にとって大変重要な祭礼であると同時に、参拝される方にも大きなご利益がいただける特別な日です。
伏見稲荷大社最大の祭礼
初午大祭(はつうまたいさい)は、毎年節分を過ぎて(旧暦で新年となり)初めての午の日に行われる伏見稲荷大社最大の祭礼です。この日はいつもよりも多くの参拝客でにぎわい、周辺の道路も大混雑となるほどの人出となります。
初午大祭の歴史
初午大祭は、 稲荷大神(いなりおおかみ)が稲荷山に降臨された日が和銅4年(711年)2月の初午の日であった ことが由来となっています。初午の日に、稲荷大神の広大無辺な神威を仰ぎ奉る祭礼が初午大祭です。
伏見稲荷大社では、初午の2日前から稲荷山のご神木・杉と椎の木で作られた青山飾りが、本殿や摂社・末社に飾られます。
一年の幸福を祈願する祭りとして 「福参り」 とも呼ばれる初午大祭。清少納言も『枕草子』の中で初午詣について記しているほどで、平安の時代から京の都の一大祭礼として定着していたようです。
初午大祭の概要と日程
初午大祭は2月の初午の日に行われるため、毎年祭礼の日が変わります。
ちなみに2024年は2月12日の月曜日で祭日と重なっていますので、おそらく例年以上の人出となることでしょう。当日は朝8時より社殿での儀式が行われますが、参詣は自由に行えるので朝早くから訪れている方も多くいます。
初午大祭でしか授与されない縁起物
初午大祭ではこの日にしか授与されない縁起物があり、参拝客が先を争うように求めている光景は毎年おなじみとなっています。
しるしの杉
平安時代の昔、初午詣での帰りにご神木である杉の枝を持ち帰る風習がありました。初午が終わった後の稲荷山の杉の木は葉がすっかりなくなってしまうほどだったとも言われ、初午詣での人出の多さが想像できます。
現在はさすがに杉の枝を切ることはできませんが、その代わりに 「しるし(験)の杉」 を授与していただけます。昔は家に持ち帰って植え、根付けば吉で根付かなければ凶といわれていた「しるしの杉」ですが、今では 家内安全・商売繁盛・厄除けのお札として神棚や仏壇、玄関などにお祀りします 。
達成のカギ
「達成のカギ」は初午大祭以外の日も授与されていますが、初午の日はひときわ大きな達成のカギも授与されます。先がくるくるとカギ型になったもので、昔の蔵のカギを模したものだそうです。 稲荷大社のご利益をカギを通して導けるように との意味があります。
稲荷大社の狛狐はそれぞれ色々な物を咥えていますが、この「達成のカギ」を咥えている狐もいます。参拝の際にはぜひ探してみてくださいね。
福かさね
「福かさね」は、「しるしの杉」にさらに稲穂や絵馬をつけて福を重ねた縁起物です。ご利益は開運招福です。長さが60cmと少し長くて持ち帰るのが大変ですが、家にお祀りすればきっと大きな福をいただけるでしょう。
奉納野菜のいろどり!
伏見稲荷大社は五穀豊穣の神様でもあるため、初午の日は境内に色とりどりの野菜が奉納されています。それがとても美しく並べられています。
企業ごとにユニークな並べ方になっていて、また珍しい京野菜もあり見ているだけで楽しくなります。初午の日にしか見られない光景の一つでもありますので、参拝の際にはぜひご覧ください。
伏見稲荷大社の由緒
伏見稲荷大社の起源は、和銅4年の2月初午の日に稲荷大神が稲荷山に降り立ち、秦伊呂具(はたのいろぐ)が稲荷山の三つの峰の平らなところに稲荷大神をお祀りしたことだと伝わっています。
その後、大神が降臨した峰に稲が実ったことから、稲成り→稲成→稲荷と呼ばれるようになったそうです。
ご祭神とご神徳
本殿には
- 宇迦之御魂大神(うかのみたまのおおかみ)
- 佐田彦大神(さたひこのおおかみ)
- 大宮能売大神(おおみやのめのおおかみ)
- 四大神(しのおおかみ)
- 田中大神(たなかのおおかみ)
がお祀りされており、
- 商売繁昌
- 産業隆盛
- 家内安全
- 交通安全
- 芸能上達
の守護神とされています。
伏見稲荷大社の基本情報
- 住所:京都市伏見区深草薮之内町68
- 授与所受付時間:8:30~18:00(御朱印最終受付 16:30)
- 境内拝観自由・無料
- アクセス:最寄り駅 JR奈良線「稲荷」駅徒歩すぐ/京阪本線「伏見稲荷」駅徒歩約5分/バス最寄り駅「稲荷大社前」徒歩約7分
見どころ7選
伏見稲荷大社の見どころはたくさんありますが、一番に思い浮かぶのはやはり千本鳥居。
千本鳥居
千本鳥居は、実際に千本の鳥居があるわけではなく、 千本=とても多い という意味で使われています。この鳥居はすべて一般の人々から奉納されたもので、 「願い事が通った(叶った)」お礼 だとされています。伏見稲荷大社には、千本鳥居以外にも多くの鳥居が奉納されており、現在では1万基以上あるといわれています。
写真映えするスポットとしてとても人気で普段はすごい人出なので、無人に近い千本鳥居を撮影するなら早朝がおすすめです。
楼門
参道から見える鮮やかな朱色の楼門はとても美しく、千本鳥居と共に伏見稲荷大社のシンボルともいえる建物です。天正17年(1589年)に、豊臣秀吉によって造営されたと伝わっています。
本殿
本殿も朱色が美しく、上を見上げると桃山文化を象徴するような色鮮やかな彫刻が施されています。側面から見た屋根の美しい傾斜も見どころです。
奥社奉拝所
奥社奉拝所(おくしゃほうはいしょ)は千本鳥居を抜けた先にあり、奥の院とも呼ばれています。稲荷山を遙拝(ようはい:遠くから拝むこと)する場所で、奥社奉拝所の正面向こうに稲荷大神が降り立ったとされる稲荷山の三の峰が位置しています。
境内には、願い事をしながら持ち上げて想像よりも軽ければ願いが叶い、重ければ願いが叶わないといわれる 「おもかる石」 があります。
熊鷹社
奥社奉拝所に向かって左手の参道を上がっていった先にあるのが熊鷹社(くまたかしゃ)です。熊鷹社の後ろにある新池は別名こだまヶ池と呼ばれ、行方知れずになった人を探すときに池に向かって手をたたき、こだまがきこえた方向に手がかりがあるといわれています。
熊鷹社からは、少し険しい山道になります。そのため熊鷹社、もしくは奥社奉拝所までお参りしたところで下山される参拝者も多くいます。
四ツ辻
熊鷹社からさらに上ると三ツ辻という分かれ道、本格的な「お山めぐり」のスタート地点があります。それをさらに上ると四ツ辻があり、ここから京都市街を一望できます。 見晴らしは最高で、素晴らしい景色が堪能できる場所 です。四ツ辻には「にしむら亭」というお休み処があるので、休憩がてら京都の街を眺めるのも良いでしょう。
一の峰・御膳谷奉拝所
足に自信のある方は、ここからさらに頂上を目指しましょう。四ツ辻からは周回コースとなっています。 一の峰は稲荷山の最も高い位置にあり 、標高233mの頂上から眺める京都も素晴らしいですよ。
一の峰から少し下がったところに御膳谷奉拝所があります。ここまでくれば、稲荷山参拝の全コースクリア! 所要時間は2時間程度です。
三ツ辻からの参拝コースは山道が険しく怪我のリスクが高いため、歩きやすい靴で行きましょう。海外からの参拝者が増加して以降は、まれに稲荷山参拝時の遭難も起こっています。
稲荷山を参拝するときは、決して無理をせずに体力や体調と相談しながら登ってくださいね。
おきつね様を探せ!
伏見稲荷大社には、稲荷大神のお使いである狛狐が境内の各所に鎮座しています。そして狛狐が咥えている物は稲穂やカギ、宝珠、巻物などそれぞれ異なります。初午大祭の日は、人が多いためゆっくりと見られないかもしれませんが、余裕があれば狛狐たちをじっくりと観察してみてください。
おきつねさんの表情も少しずつ違いますので、そのあたりを見ながら参拝するのも結構楽しいですよ。
参考・出典
- 京都観光Navi 京都観光オフィシャルサイト
- 京都・異界をたずねて 蔵田敏明 淡交社 2012年
- 京都の寺社505を歩く 槙野修著 山折哲雄監修 PHP研究所 2007年
やってみよっか?