ヨガ&アーユルヴェーダサントーシャ主宰 中里奈緒子氏に聴く、幸せの本質とその見つけ方(後編)
後半は、いよいよヨガとアーユルヴェーダの本場・インドへ!
価値観を変えた現地での体験、出会った人々など、インド情報もたっぷりお伝えいたします。
また、「幸せとは」、「本当の自分とは」を見つけるためのヒントも。
ぜひ、ご自身の生活と重ね合わせながら、毎日をより幸せに過ごすちょっとしたヒントを得ていただけますと幸いです。
前編をまだ読んでいない方は、 こちら から↓
インドに呼ばれた - 本場で修行を積み「幸せの本質」を知る
アーユルヴェーダ発祥の地、南インドのケララで資格取得
- 思い立ったらすぐ行動の奈緒子さん。インドに渡ったあとはどのような生活を送られたのですか。
やるからには本場でほんものを学びたいと思い、初めからアーユルヴェーダ発祥の地である、インド南部のケララ州にいきました。アーユルヴェーダクリニックでインストラクターの資格を取る1ヶ月の講座でしたね。
本場インドではアーユルヴェーダは医学なのですが、当時から欧米ではアーユルヴェーダが日本よりも浸透していて、リウマチやパーキンソン病に悩まされている患者さんも、その治療先としてインドのアーユルヴェーダクリニックに長期滞在するなど、欧米の方も多く世界各国の生徒がいました。
私自身の見解になりますが、日本はもともとは東洋の国としてホリスティック(身体だけでなく、目に見えない心や霊性を含めた<Body - Mind - Spirit>のつながりを大切にする考え方)で包括的な思想や健康観があった国だったのが、戦後急速に近代・西洋化して、それらに以前ほど重きを置かなくなってしまったもったいない状況なのではないかと感じます。
講座、アーユルヴェーダクリニック滞在(現地ではパンチャカルマ=浄化療法と呼びます)、観光で合計2ヶ月くらい滞在して、三食アーユルヴェーダ食をいただき、アーユルヴェーダやヨガ漬けの日々でした。時間がある時は、仲のいいルームメイトと寺院巡りに出かけたりもしていましたよ。
自分の人生観を変えてしまった、インドでの貴重な体験
- 環境や出会った人全てが、とても新鮮で学びが多い日々だったのが想像出来ます。インド滞在中に特に印象に残っているエピソードなどはありますか。
1ヶ月の講座を終え、さらにアーユルヴェーダクリニックに滞在して1週間ほど経った頃でしょうか。インドに降り立った初日の自分の写真とその時の自分の写真を見比べてみたら、目に見えて分かるほど明るく健康的になっていて、まるで別人のようだったことを覚えています。内側からととのったと言いましょうか、心身のストレスから解き放たれた時にはこんなオーラのようなものが出るのかと。
「ヨガの最終目的=本来の自分と出会うこと」と言われていますが、それは自分の根源である「魂」と繋がること、さらには宇宙のあらゆる物との繋がり、一体感を得ることを意味しているんですよね。
滞在中での、今までに経験したことのないような想像を遥かに超える体験を経て、心も身体も完全にピュアで浄化された状態になった時に悟りの境地に出会える、ということが1回目のインド滞在で垣間見えたような気がしました。
また、学生時代の交通事故の際の体験とインドでの体験が酷似していたことも驚きでした。事故の時以来自問していた「私という存在とは?」に対する答えをインドが与えてくれたように感じ、興奮以上の感動を覚えました。
本来の私って何だろう?という問いを追求していくのがヨガでありアーユルヴェーダであると知り、生涯かけて学びたい!と歓喜しました。これぞまさに私が長年探し求めていた「何か」だったんですね。
- なるほど。百聞は一見にしかずとも言いますが、現地の人々や環境から勉強出来ることは多いですよね。そして、一旦日本に帰って日本でどのように仕事にしていくかの道標を探したということでしょうか。
そうですね。現地での手法をそのまま日本に適用するのは難しい部分もあったので、日本ではどのように取り入れられているのかを学びたかったのと、全く経験のない分野の職種だったのでまずは色々経験を積もうと考えました。
しかし、日本で「アーユルヴェーダ」というと、スパやエステ(身体を綺麗にする、痩せる)として謳われているものも多く、それでは本場の精神論が全く伝わらないと落胆することも正直多かったです。
様々な施設の門をたたく中で、ようやく現地インドのアーユルヴェーダ社と提携し、日本でアーユルヴェーダ普及活動を行っている企業に出会えた時はとても嬉しかったです。私の日本の先生と呼べる人と巡り合うことが出来ました。ここは、アーユルヴェーダは単なるスパやエステとして捉えているのではなく、本場の精神や信念をしっかりと伝承しているところです。「なにか違う」と感じながら進んでいくことが出来ない私にとって、日本でもほんものに出会えたことはまさに素晴らしいのご縁でした。
そこで経験を積みながら、年に1~2回インドに渡り(合計10回以上行ったでしょうか)、アーユルヴェーダやヨガのプログラムを受講して新たな資格を取ったり、呼吸法や瞑想の修行をしたりも続けました。
子どもの頃から、ゴールを設定して達成するのが快感!と言っていた私ですが、「本来の自分とはなんだろう」という問いかけにはゴールはないんですよね。
- 日本に帰ってからも、何度もインドに渡り様々な資格を学ばれたのですね。その後念願のご自身のスタジオを!
はい、2020年11月にヨガのスタジオを、2021年10月にアーユルヴェーダのスパを開業しました。
自分のスタジオを開くにあたって軸にしたことは「ヨガやアーユルヴェーダの哲学を大事にする」ということです。
これらはストレッチやエステではなく、大きく捉えると「生き方の知恵」なんです。究極、ヨガマットがなくても、インストラクターである私がいなくても、自分で人生を幸せに導けるように、レッスン時間だけではなくその人の生活そのものを前向きに出来たらいいと願っています。
自分と対話し、相手と対話する
「幸せ」は自分の中にある - 必要なのは見つけ方を学ぶこと
- これまでアーユルヴェーダやヨガとの出会いや精神を突き詰めて伺ってきましたが、さらに広い意味で奈緒子さんが考える「幸せ」とは、どのように考えますか。
私が考える「幸せ」とは、何かを得たり成し遂げたりすることによって得られるものではなく、すでにそこに、自分自身の内側に「ある」ものだと思います。その幸せに気づけるか気づけないか。気づけるようになるためには、やはり様々な人生経験も必要なのかなと思います。時には失ったり、失敗したりすることによって、それまで存在していた当たり前のことにも感謝できる。
自分の人生を振り返ってみても、ずっとポジティブではなく、やらかしたこともたくさんあります。とても危険な目に遭ったことも、正直あります。
しかし、死なない限りは何でも経験だと思っていて、当時はとても苦しくても後々、大きな意義を見出せたり、感謝に変わったりします。
「今」の軸で考えると、「苦しい、失いたくない」と感じても、人生全体で見たら「経験値が上がる」ということなので。
昔からよく言われますが「失敗は成功のもと」というのは本当にそうだなと今になって実感します。「やりたいことがある」だけで十分幸せなことだとも思います。
- 経験の多さ、豊富さもそうですが、その中には「人間関係」も必ず含まれると思います。奈緒子さんが誰かとコミュニケーションを取る時に気にかけていることはありますか。
常に相手の年齢やステータスではなく「本質」を見るようにしています。というか、もともとそういう性格だったのかもしれないです。
例えば、小さな子どもに話しかける時に極端に赤ちゃん言葉になったりする大人っていますよね。私が子どもの時、とても違和感を持ったんですよね。私は一丁前なのに、と。笑
今、5歳と2歳の娘がいるのですが、それこそ0歳の時から一人の人間として一人前だなぁと思っていますし、そのように接しています。
無意識かもしれませんが、実年齢と精神年齢は一致しないということを心得ていて、「その人の本質」と向き合うようにしていますね。
その人がどんなに有名な人でも、地位がある人でも、「あえて敬う」ということをしないです。もちろん、あえて感じ悪くするだとか強めの態度で接するということではなく、あくまで「自分の軸をずらさない」ということですね。どんな人に対しても絶対にその人の殻の中を見る(感じる)、というか。
そうしていると、生きるのが楽になったと感じます。結果、自分の本質に合った人とのお付き合いが続いていくことになりましたね。
インタビュー後記
インドでは未だにカーストが残る地域も多く、貧富の差を目の当たりにする日もあったそうです。しかし、道端で暮らす人々の中でも、誇り高く、目の前にある現実の中から幸せを見出し、目を輝かせて生きている人に出会う機会も多かったという奈緒子さん。
「やっぱり環境じゃない、心の持ちようだ」「幸せの基準は自分次第」と何度も力強く語ってくださった中にも、優しさや失敗をしたという人間らしさも溢れ出し、話している私がたくさんの元気をいただきました。
ヨガ ※現在スタジオ移転中につき、詳細が決まり次第お知らせいたします。
アーユルヴェーダ ※現在スタジオ移転中につき、詳細が決まり次第お知らせいたします。
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