ヴィエリチカ岩塩坑(ポーランド語: Kopalnia soli Wieliczka)は、ポーランド共和国マウォポルスカ県にある岩塩の採掘坑です。廃坑にされていない岩塩坑としては世界最古で、全長300km、深さは地下327mに及びます。1996年に、コスト上安全上の問題から商業採掘は中止され、現在は観光地となっています。観光客向けには3.5kmの坑道が公開されており、そこでは坑夫たちが信仰のために岩塩で彫り上げた様々な像や地下大聖堂、さらには岩塩採掘史の展示を見ることができます。
歴史
ヴィエリチカ岩塩坑は1044年の創業です。ハンガリー王女キンガ姫がポーランド王家に嫁いだ時、強い思いをこめて投げた指輪の示した場所から塩があふれ出たという「キンガ妃の指輪事件」をきっかけに1250年には国営企業となりました。その後長期間にわたりこの岩塩はポーランドの富の源泉となります。第二次世界大戦中は、ドイツ軍がこの岩塩坑の部を軍需物資の製造拠点として利用しました。1978年にはユネスコの世界遺産として登録されました。
見どころ
ヴィエリチカ岩塩坑内の一番の見どころは、地下100mのところにある聖キンガ礼拝堂でしょう。そこの床や階段、中央の祭壇や壁に彫られたレリーフ、さらには天井から吊り下げられたシャンデリアの、ガラスの結晶に見える装飾に至るまで、驚くことに全て岩塩で作られています。そしてこれらの作品の作者が芸術家などではなく、信仰心の厚い鉱夫達が仕事の合間に仕事道具のノミなどを使って彫り上げたものであることを知れば、さらに感銘は深まることでしょう。