【見どころ6選】限りなく天界に近い世界遺産、比叡山延暦寺とは
日本の仏教は様々な宗派がありますが、その母なる山こそ比叡山です。浄土宗も真宗も禅宗も、開祖はみんなこの山で修行して各地へ散っていきました。見るだけで信仰心が湧いてくる建築物、仏像。高い山ではないけれど、精神的に、天上界にもっとも近い山の世界へ行ってみてはいかがでしょうか。
※2022年9月21日に公開済みの記事を更新しました
東塔エリア
比叡山ドライブウェイ、叡山・坂本ケーブル、ロープウェイ
車なら比叡山ドライブウェイ、電車などの公共交通なら叡山ケーブルで、麓から山上へ向かいます。
ドライブウェイは道も広く、途中には休憩所もあり、 眼下に広がる琵琶湖 を望むこともできます。快適ですが、特に下りではスピードに注意してください。
ケーブルカーは京都側は八瀬、滋賀側は坂本から出ています。 京都側は途中でロープウエーに乗り換え、滋賀側は日本最長の2キロを超える長さで駅もあり、しかも 琵琶湖の景観が一望 できます。山内を走り回るバスに接続して山上へ。
世界遺産だけあって交通やルートも複数あり、各社ウェブサイトで時刻表や運賃などは確認してください。
荘厳 -根本中堂-
延暦寺の本堂にあたるのがこのお堂です。平安時代、天台宗の開祖、伝教大師最澄によって開かれました。回廊に囲まれた巨大な木造伝統建築です。
ほとんど知られていませんが、実はこの根本中堂は 3つの建物を合体 させたものです。内部に入ってみると、外陣と内陣との境に大きく段差があり、なんとなくその感じが分かります。
ただ、現在は大掛かりな改修工事で中には入れません。逆に 足場から工事中を見学 できるため、ふだんは見られない角度から見学できます。ちなみにこの工事は足場などの仮設工事だけで何億というとてつもない規模のものです。
改修工事は2016年から10年掛けて行われる予定で、早ければ2026年から工事後の姿が拝観できそうです。
人こそ宝 -国宝殿-
数多くの仏像・仏画・書跡等が展示され、その多くが国宝や重要文化財に指定されています。しかし名前の国宝は指定されているものではなく、最澄の 「一隅を照らす。これ則ち国宝なり」 という言葉からで、国宝というのは仏像や絵などのモノではなくて 「人の心なのだ」 、というのです。一隅を照らす、というのは「自分の置かれた社会の隅っこから小さなできることを積み重ねていく」といったことです。アニメに『この世界の片隅に』というのがありましたね。
展示品については仏像も 最澄直筆の書 もあり、どれも魅力的ですが、これらは難を逃れて残ったものであり、多くが織田信長の焼き討ちによって失われたことが残念でなりません。
西塔エリア
命がけの修行 -浄土院-
この西塔エリアは主に修行の場です。浄土院は人気のない山中、 伝教大師最澄の御廟 があります。ここでは侍真といわれる修行僧が籠もって厳しい修行をひとりで続けています。
12年間ものあいだ、 下界と一切の縁を切り 、ひたすら行に没頭するので、スマホはもちろん、テレビも何もありませんし、たとえ親が死んでも下山することはありません。
1日3千回の 五体投地と仏の名 を読み上げ、横になって眠ることなく、仏の姿が目に見えるまで続けるという凄まじいもので、過去には亡くなった僧もいるとか。
耳を澄まさなくても、建物内から五体投地の「どすん」という音と読み上げる声が聞こえてきます。
修行三昧 -常行堂・法華堂-
にない堂ともいわれ、ここも 修行三昧 (ざんまいという言葉はここから)のお堂です。同じ形のお堂が2棟並んでいます。なかではお経を唱えながら阿弥陀如来の周りをひたすら回り続けています。
ハイキングコースにぴったり
ケーブルやロープウェーの駅から東塔エリア、西塔エリア、そして一番遠い横川エリアまで、2キロほどから7キロほどで数コースの推奨ルートがあります。 千日回峰行の行者ルート も体験できます。
比叡山延暦寺の魅力は止まらない
今回紹介できなかったのですが、延暦寺会館では 座禅や写経 の体験もできます。さらに 宿泊 も可能。
西塔エリアの居士林は本格的な修行エリアになっていて、 会社や学校などの団体、サークルや友達同志、家族連れでも宿泊しての座禅や写経の本格修行 もできます。
私たちの日常生活での仏教はふだんお葬式や法事などの葬祭でしか接することが少ないのですが、仏教は私たちのバックグラウンドに深く根ざしています。 念仏もお経も瞑想もすべてのスタート地点である比叡山を感じることで、明日から世界の見え方が変わりそうです。
やってみよっか?