【ガーデニング】甘い香りで冬の庭を彩る花|おすすめ6選
冬の澄んだ空気に漂う、甘い香り。
冷たい鼻先にふと感じる花の香りは、芳潤な甘さとひんやりとした空気のシャープさがあわさって、冬ならではの情景を感じさせてくれます。庭ではほんのりと上品な香りの花も、少し手折って室内に飾ればたちまち部屋中が甘い香りに。
そんな冬だけの甘い香りの花を、庭に取り入れてみませんか。
今回は、冬に甘い香りの花を咲かせる植物たちをご紹介します。
冬に楽しむ甘い香りの花たち
なぜ甘い香りを放つ?
お花の少ない冬ですが、 甘い香りの花を咲かせる植物は意外とあります 。
植物が香りを放つのは、花粉を媒介してくれる虫や鳥を呼び寄せるため。冬にも甘い香りの植物が多いのは、冬も意外と虫たちが活動している証拠でもあります。
花の多い春や秋よりも、寒さが厳しい冬のほうが植物界での競合数は少ないのかもしれません。
長く花を楽しめる
しかし、やはり春から秋に比べると、冬にも活動する虫の数は多くありません。そこで、冬に花を咲かせる植物たちは、できるだけ長い期間花を咲かせます。
そのため、 冬の花は開花時期が長い ものが多くあります。厳しい自然界の中で生き延びる植物の知恵によるものですが、おかげで私たち人間も美しい花を長く楽しませてもらっています。
冬の花は手間がかからない
そんな厳しい冬でも花を咲かせる植物たちは、 基本的にとても強健 。ガーデニング的に手がかからない植物が多く見られます。
冬は寒くて外に出るのも億劫で、庭作業もなかなか気が進まない季節。そんな中でも寂しい庭を彩る花々は、時間をかけられない人やガーデニング初心者にもおすすめです。香りがするお花たちを植えれば、外に出て冬の庭を楽しむきっかけにもなりますよ。
ではここからは、冬に甘い香りを放つ植物たちをご紹介します。
スイセン
強く甘い香り
年末から3月頃まで長く花が咲き、お正月にはおなじみのスイセン。原種から園芸品種までたくさんの品種が出回っており、色や花の大きさ、形など多種多様です。実は、品種によって香りの強さや種類にも違いがあります。
日本では親しみのあるクリーム色の花びらに黄色い口があるニホンスイセンは とても香りが強く、すっきりとした甘さのフローラル系の香り が特徴です。ほかには、スパイシーな香りや柑橘系の香りがする品種もあります。いろんな品種の香りを揃えてみたくなりますね。
性質と特徴
ニホンスイセンなど開花時期の早いものは、11月頃から咲き始めます。
9月〜11月頃に植える秋植え球根です。年末になると、花芽がついた芽出し球根もポット苗で出回ります。植えっぱなしでもよく増えて広がるので、手がかかりません。
開花後の5月頃から葉だけがひょろひょろと伸びますが、葉は枯れるまでそのままにしておかなければなりません。そのため、あまり目立つ場所に植えると、春に少し寂しい光景になることも。場所とバランスを考えて植えましょう。
ストック
ふんわり甘い香り
ストックとは、 ベビーパウダーのようなふんわりとした甘い香り をもつアブラナ科の植物です。花の少ない年末〜早春にかけて、ボリューミーな花を咲かせてくれる冬の花壇や寄せ植えの主役。花色も白、クリーム、濃いピンクや紫、ラベンダーなど色とりどりです。
一本の茎に穂状に花を咲かせるスタンダードタイプと、枝分かれして花をつけるスプレータイプがあります。香りの種類はどれも一緒ですが、スタンダードタイプのほうが強い香りがします。園芸品種では、八重咲きのほうが香りが強いとされています。
性質と特徴
草丈もいろいろあり、花壇や寄せ植えに適した草丈が低いミニタイプ、切り花にも使われる高性種タイプなどがあります。11月頃からポット苗で出回るのは、ミニタイプがほとんどです。
暖地では冬中咲いてくれますが、寒冷地では暖かくなってきた早春〜初夏に咲きます。暑さには弱く、夏前に枯れてしまう一年草です。種を採取して翌年咲かせることもできますが、八重咲きの品種が一重咲きになってしまうことも。日当たりを好み、土壌もあまり選びません。
スイートアリッサム
好みの分かれる、甘い芳香
小さい鞠状の小花がかわいいスイートアリッサム。10月頃から花をつけ、3月頃まで長く楽しめます。寒い季節にも旺盛に横に広がり、庭を華やかにしてくれる存在です。
群生すれば、近くを通るだけでふわっと甘い香りが漂います。 しかしこの香り、人によって感じ方が違う というケースをよく聞きます。甘いはちみつのような香りに感じる人もいれば、くさくて苦手と感じる人も。園芸店で香りを嗅いで確認してみてくださいね。
性質と特徴
スイートアリッサムは暑さに弱く、基本的に秋から春の一年草扱いです。こぼれ種でもよく増えるので、夏に株を抜いてしまっても近くからまた芽が出ます。また、最近は夏越しもできるスーパーアリッサムという品種もあり、一年中お花を楽しませてくれますよ。
花色は白や紫、オレンジなどさまざまで、葉色も緑種と斑入り種があります。這うように広がるので、花壇前方など下草に重宝するお花です。
ボロニア
さわやかな甘い香り
ボロニアは、オーストラリア原産のミカン科の植物。葉からミカン科らしい柑橘系の香りがするオージープランツです。星形の花が特徴のピナータ種と、釣鐘型の花を咲かせるヘテロフィラ種、メガスティグマ種などが出回ります。
そして、花にも甘い香りがあります。フルーティーな甘さの香りで、葉の香りと合わさって 甘いオレンジのような香り が印象的です。なかでも、メガスティグマ種は花の香りが強い傾向があります。
性質と特徴
2月頃から花のついた鉢が出回ります。品種によっては花の香りが弱いものもあるので、購入時に花が咲いている苗を嗅いでみるとよいかもしれません。
乾燥したオーストラリア原産の植物のため、栽培難易度は少し高めです。一度水切れを起こすと復活が難しいので、土が乾いたらしっかりと水やりしましょう。雨や霜に弱く、移動できる鉢植えでの栽培がおすすめです。
ジンチョウゲ
上品な甘い香り
三大香木の一つであるジンチョウゲは、春の訪れを教えてくれる常緑低木です。中国原産で、室町時代以前から日本でも親しまれてきました。
2月頃、冬の散歩道でふんわりと甘い香りがどこからかしてきたら、近くにジンチョウゲがあるのかもしれません。近寄って嗅いでみると、 濃厚で重めの甘い香り がします。春の訪れを告げる、馴染みのある花の香りです。
性質と特徴
西日の強くない半日陰を好みます。日陰でも育ちますが、花付きがやや少なくなります。基本的に丈夫ですが移植を嫌うので、植える場所はよく選びましょう。鉢植えでも丈夫に育ちますよ。
乾燥には弱いので、真夏や開花時期にはたっぷり水やりをしましょう。コンパクトな自然樹形のため、剪定もあまり手がかかりません。生育環境が合えば、20年以上も育てられる庭木です。
サルココッカ
ハチミツのような甘い香り
サルココッカは、東アジア原産のツゲ科の常緑低木。ツヤのある深緑の葉が美しく、シェードガーデンにも人気の庭木です。
2月頃、目立たない小さな花ながら、 ハチミツにも似た甘くおいしそうな香り を漂わせます。花はクリーム色で、基部が黄色の品種と赤色の品種があります。一見地味な花に思われますが、さりげない姿は趣きがあり、洋風と和風のどちらにもよく合います。
性質と特徴
背丈は40cm〜80cmほどで、植え込みなどにもよく利用されます。日陰に強くコンパクトな樹形で、病害虫にも強く扱いやすい低木です。
一年中緑の葉が美しく、春に花を咲かせ、秋には赤い実をつけます。赤い実は晩秋から冬にかけて黒紫になり、その姿も見ものです。
斑入り葉の品種はシェードガーデンを明るく見せてくれます。
冬の庭に甘い香りを
寒い冬、冷たい風に乗って漂ってくる甘い香り。春や夏の空気とはまた違う、五感をくすぐる魅力があります。
少し枝を切って花瓶に飾れば、天然のルームフレグランスとして楽しめます。冬の花は楚々として、室内に飾っても魅力的です。どれも開花時期が長くて丈夫なので、手がかからずに育てられますよ。
花の少ない冬は、香りのいい花でガーデニングを楽しんでみてくださいね。
やってみよっか?