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【社会人の海外留学 Vol.5】私の留学体験記(ロンドンMBA)|準備から留学後の変化まで

30代。がむしゃらにやっていた20代を終え、なんとなく自分の人生を俯瞰できるようになってくる時期。仕事やプライベートは上手くいっていないわけではないけど、「何か違う。」「もう一歩自分の殻を破りたい。」そう思っている方々に読んでもらいたいのが、本記事です。

今回は、アラサーでロンドンにMBA留学をした私自身の留学体験記をお届けいたします。

本シリーズは、会社を辞めて数年留学というよりも、長期休暇や休職期間を利用した短期留学を想定しているので、旅行の延長線のような気分で気軽に読んでいただきたいです。

プロローグ

プロローグとして、私が30歳を目前にしてなぜ留学を決意したのか、その理由や目的をお伝えしたいと思います。

29歳で留学を決意したきっかけ

きっかけは家族のロンドンへの転勤でした。当時、都市銀行に勤めており、29歳という社会人のキャリアパスにとって重要な時期にいたので、これを機に一緒にロンドンに住むべきか非常に悩みました。年功序列社会の銀行にいたので、ロンドンに行くということは キャリアを捨てるということ になると本気で考えていました。

でも、昔から漠然と 海外生活に興味 があったので、結局自身の現在のキャリアを捨て、会社を退職するかたちでロンドンへの移住を決意しました。

最終的に「海外で学ぶ」という選択をしたのは、これまでの人生で一切の留学経験がなく、ずばり 英語がコンプレックスだったから 。30代になる前に、苦手を克服してスキルアップをしたかったのです。

なぜMBA?なぜこの大学?

まず、私は 英語力に自信がなかった ので、MBAのような専門的なプログラムではなく、語学学校の半年コースを検討していました。しかし、当時のレートで、学費が半年で60万円という事実を知ったときに、「日本の私立大学並みじゃん!」と感じました。そして、よくよく調べてみると、語学学校は文法や単語など基礎的な知識を学ぶクラスが多く、「とにかく英語で話したい」と考えていた私にとって 費用対効果が低い のではないかと結論付けました。

そこで、ひょんなことから イギリスでは大学院を1年未満で修了 できることを発見し、同じような学費を払うのであれば履歴書に書けそうなほうを選択しようと思い、MBA留学を決意しました。ちなみに、MBAでなくともロンドンには魅力的な文系学科がたくさんありますが、大学時代に商業学を専攻していた私にとってはMBAが最も親和性が高かったです。

私のケースは稀だと思いますが、住む場所が先に決まっていた(ロンドンの郊外)ので、第一志望の大学の決め手はずばり家から徒歩10分であることでした。また、MBAは他の文系学科の2~3倍学費が高く、1年間で約540万円(1ポンド=180円、2023年12月レート)とクレイジーな値段感なのですが、私の家の近くの大学は他の文系学科と変わらない価格でMBAを取得できたのでコストパフォーマンスの面でも非常に魅力的でした。

準備期間

これから留学を考えている方々のために、私が海外渡航前に具体的に何をしていたのかお話ししていきます。

大学院出願

イギリス大学院の出願制度

イギリスの大学院はローリング制度を採っており、出願された順に審査が行われ、合格者が定員に達すると締め切られます。出願期間はプログラムによって異なりますが、一般的には前年の9月から翌年の7月までです。ただし、早く出願すればするほど有利になるので、前年の11月ごろまでに出願することが推奨されます。私が留学しようと決めたのが確か前年12月。理想は前年11月「出願」なのに、留学しようと決めたのがその1ヶ月後…。一刻も早く出願しなければならない状況でした。

留学エージェント探し

Vol.2 でお伝えの通り、自力ですべて手続きを終えることはもちろん可能ですが、私は とにかく時間がなかった のと 初めての留学で心配なことも多かった ので、留学エージェントを使用しました。

私がお世話になったのはSI-UKというエージェントです。日本ではなくイギリスにも支店があり、イギリスのほぼすべての主要大学とコネクションがあるという評判でした。実際に利用した感想ですが、サービスは期待以上で、すべての手続きをスピーディーにこなしていただきました。また、SI-UKは契約前に 無料のカウンセリング 無料IELTS模擬テスト を受けることができるので、まだ決意しきれない…という段階から相談しても損はありません!

IELTSのスコアアップに奮闘

イギリス大学院の入学には十分な英語力があることを証明しなければならず、私の第一志望の場合は IELTSで総合6.5点 を獲得しなければなりませんでした。元々 TOEICは900点 を持っていたものの、それはリスニングとリーディングのスコアであり、IELTSのような総合的な英語力を求められるテストは受けたことがなく、ハードルが高かったです。入学までにハイスコアを獲得すればよく、出願時はスコアの提出はしなくていいのですが、私の場合は不安な気持ちが大きかったので、一刻も早く良いスコアを獲得しようと勉強したのを覚えています。

大学院での成功体験・失敗談

ここからは、私が留学中に体験した具体的なエピソードについて描写していきます。

成功体験

ロンドン大学院の成績評価の仕組

まずは成功体験から。結論から言うと、私はイギリスのMBAを最高成績で卒業しました。イギリスの大学院の成績評価システムについて説明すると、4段階(Distinction, Merit, Pass, Fail)に分けられ、Distinctionが上位となります。学校にもよりますが、 Distinctionは全体の10% と言われています。

一般的な欧米の学校には、普段の授業での発言頻度・内容が重視され、スピーキングを苦手とする日本人は卒業するのがやっと…、というイメージがあるかもしれませんが、 イギリスの成績評価システムは意外と日本に近く 、レポートやプレゼンテーションなどの成果物で評価されます。この評価システムを知ってから、スピーキングが苦手な私でも準備次第でいい成績が取得できるのではないかと考えはじめ、モチベーションが保てました。

最優秀の成績である「Distinction」で大学院を修了

最終的に、私は 「Distinction」 を取得しました。

特に、 修士論文では80点 という高スコアを出し(80点以上は生徒としての出来を超えていて、出版に値すると考えられています)、現在は教授とともに修士論文の出版を準備しています。コスパ重視で有名ではない大学のMBAを選択しましたが、得られたものは大きく、コースの満足感は良好です。

授業内のプレゼンテーションで日本について語る

印象的なブレイクスルーとしては、リーダーシップの授業中に、教授が即興でグループを作り、特徴的な組織編成を持つ企業のリーダーシップの取り方について、私がグループを代表して 突如プレゼンテーション をしたことです。当時は つたない英語ながらも無事にプレゼンテーションを終えることができ 、何よりクラスメイトに「聞いていて楽しいプレゼンだった。Wakanaは人の耳を集中させる力がある」と褒められ、 英語は他人に自分を評価される評価軸ではなく、単なるコミュニケーションツール なのだなと実感できたことでした。

音楽科の授業・アクティビティにも参加

これもイギリスならではのエピソードかと思うのですが、私は趣味で15年間ホルンという楽器を演奏していて、それが同じ大学内の音楽コースの教授の耳に入り、なんと 音楽コースの生徒の授業・コンサート・試験に混ざり手伝いをさせてもらっていました 。イギリスの大学は総合大学の形式が主流(例えば、オックスフォード大学にすら音楽コースがあります)である故に可能だったこと、 欧米特有のオープンマインド によって起こったことなのかなと思っています。

失敗談

授業についていけず号泣

成功体験の裏には失敗体験あり、とうことで、失敗談についてもお話しします。

まずはやはり言語(英語)です。イギリスには様々なアクセントが存在し、かつネイティブスピーカーはリンキング(単語同士が繋がって別の音に聞こえる)・リダクション(単語の組み合わせによって、間の音が消える)サウンド満載で話すので、私は リスニングには苦労 しました。というか今でも苦労しています。一方で、クラスメイトはみんな英語に問題なし…。私が聞こえなかったナイジェリア出身の教授の英語を周りは聞き取っていたことにショックを受け、気づいたら涙を流し、クラスメイトを驚かしました。これに関しては慣れと練習しかないので、最初の辛抱がどうしても必要です。

グループワークをほぼ一人でやるはめに

コースのグループワークの一環で、インド人2名、ネパール人1名とグループワークをすることに。

このとき、私は文化の違いを甘く見ていました…。問題が起きたのは、 期限に対する考え方 。日本人が時間や期限に正確というのはよく言われていることですが、私自身ルーズな方なので、結局は人によるだろうと思っていたのです。私のグループメイトは、グループタスクにするモチベーションが高かったし、このタスクはこの日までにやろう、というような細かなスケジュール管理にも前向きだったので、始めは特に気にしていませんでした。

でも、見事に全員、決められたタスクを期限までにやってこないのです。そして、ここがポイントなのですが、彼らは 期限を守らないことを悪いことだと思っていない のです!インドでは人に迷惑をかけることが当たり前という文化があるので、忙しくてやる時間がなかったのなら仕方がない、という考え方なんですね。一方で私は、約束をしたからには寝る間を削ってでもやらなければならない!という日本人的な考え方があったので、私だけがタスクを終わらせていて、気づいたらグループ全体の成果物は私がやった部分ばかりに…。私は、初めからインドの文化をよく理解し、もっとグループメイトと効果的なコミュニケーションが取ることができたな、と反省しました。

ロンドン生活のエピソード

以下では、大学院の授業以外での、普段の生活や余暇時間、友人とのエピソードについてお伝えしていきます。自分の今後の人生に影響を与えるくらい充実した体験ができたので、モチベーションを上げる意味でも読んでいただけると嬉しいです。

自分の「趣味」を使って人々と交流

現地のチャリティーオーケストラに参加

趣味のホルンを生かして渡航1週間後から現地のオーケストラに参加し、早々に 現地の方々とのネットワーク を築けました。最初は緊張したものの、 音楽に言語は関係ない ため、演奏ひとつで周りと打ち解けることができたのです。趣味がある方は、自信を持って海外でも発揮するといいと思います!

ロンドンの路上で書道?!

授業のカリキュラムが全部終了し、修士論文執筆期間に入ったころ、少し時間に余裕が出てきました。何か自分史上新しいことにチャレンジしたいと思い、日本人の友人と 路上で書道を開始 しました(笑)。書道が得意だったのと、このとき 日本文化をイギリスにもっと広めたい という思いがあったので、 ここがチャンス と思ってやってみました。

イギリスに住む人々は、いい意味でも悪い意味でも、周りを気にしません。日本と違い、オープンになんでもできる環境だったので、始めるのは簡単でした。ボランティアワークとして無料で書道作品を提供していましたが、やる度に多くの人が集まり、さらに寄付までしてくれて、 日本文化の素晴らしさや人々の温かさを感じました。

友人とのエピソード

異文化交流体験

MBAのクラスメイトとは学校以外でも付き合うことが多く、いろいろな話をしました。母国語が異なっても、ユーモアのセンスが同じだったりすると些細なことで笑いあえて、友人の前ではいつもリラックスできました。

また、私はMBAコースが始まる前に、英会話の練習のためにMeetupにたくさん出かけました。正直ほとんどがその場限りの交流でしたが、中には 生涯に渡って関係を築いていきたいと思えるような素晴らしい出会い を得ることができました。飲み会を甘く見てはいけません!笑

わが道を行きたい

日本人の友人と会話をしているときと、海外の友人と話しているときとの感覚の違いについて説明したいのですが、日本人の友人とは、基本的に照れくさくてお互いを褒め合うようなことはしないかなと思っています。でも、海外の友人とは、基本的に相手を褒めあいます。というか、挨拶の後に「その服いいね!」というような声をかけることがコミュニケーションの基本です。

失敗談の中でも出てきた話ですが、インドの「周りの人々には迷惑をかけて当たり前」という考え方には本当にびっくりしました。正直、ショックだな、大変だなと思うこともあったのですが、その分他人に対して寛容なので、インド人に対して「私のことどう思っているんだろう」みたいなストレスを感じることはありませんでした。

生きやすいけど、住みにくいロンドン

交通機関が正確ではない

人は温かいですが、生活では困った場面が何度かありました。例えば交通機関、ストライキで当然のように交通機関が止まります…。また、特に明確な理由がなくとも機械のエラーで電車が止まります。人々がリラックスしながら仕事をしているツケが日常生活にまわってきているようです。笑

新築なのに欠陥がある

私が住んでいたマンションは、新築だったのにも関わらず冬の間シャワーが壊れました…。しかも、修理が来るのに時間がかかり、修理も難航したのでその間は地獄でした。

留学前後の人生観の変化

以上、いろいろあったロンドン生活ですが、私にもたらした変化についてまとめます。

周りを気にしすぎないメンタルの習得

現地での生活に慣れてきたころから、例えば公衆の面前で自分の好きなこと(書道や楽器練習)をしても、好きな服装をしても、誰も白い目で見てこないことに気づきました。日本では最悪「通報」されるのかなと思っています…。

日本の「周りに迷惑をかけないという文化 は悪くはないと思いますが、迷惑をかける手前の状態でも日本人は抑止しがちかなと思います。もう少し、周りを気にしない文化になってくるとストレスフル社会と言われることがなくなってくるのではないかと思います。

「こうでないといけない」という固定観念を捨てることができた

日本では、医者・官僚・高所得の会社員が成功した人物として見られがちですが、その文化はアジア・アフリカ的な考え方であり、イギリス含むヨーロッパではそういう見方をしません(もちろん人によりますが)。まず、ヨーロッパでは 肩書や年齢ではなく、「スキル」や「人脈」 を見ます(例えば、履歴書に誕生日や年齢を書く欄はありません)。私が銀行員という特に保守的な職業だったせいもあるかもしれませんが、この風潮には始めは驚きました。でも、 一人ひとりの個性を見ている感じ がとても好きです。

また、私は現地でレストランのホールスタッフのアルバイトをしばらくやっていたのですが、そこで改めて様々なプロフェッショナリズムが存在するのだなと感じました。レストランのホールスタッフというと、代わりがいくらでもきくイメージがあったのですが、私の同僚には高級なレストランで勤務を重ね、完璧なホスピタリティを提供するポーランド人、自身のフレンドリーさを存分に生かしてお客さんを楽しませるハンガリー人など、みんなプライドを持って働いていて、 「働くことの本質」 を考えさせられた瞬間でした。

日本人以外の留学生の知見の広さに驚いた

私がイギリスに来て最も強く感じたことのうちの一つですが、日本人は自身の国や周辺地域に対する知識が薄いな…と痛感しました。アフリカ人の大親友のエピソードですが、彼は本当にアフリカに誇りを持っていて、自分の出身国だけではなく、アフリカ全体についてよく情報収取していました。どうしてそんなに詳しいのか尋ねたら、 「自分が話さないとアフリカの真実が埋もれてしまうから」 と答えてきて、本当に感動したのを覚えています。

今後、留学体験をどう生かすか

今後の人生についてですが、これまで日本国内に限定されていた自分の ネットワーク が世界に広がったので、これを途切れさせることなく維持して、今後の自分の生活やビジネスに生かしていきたいです。

イギリスで生活をすることで、「この有名な会社に何年も勤めた」とか「スケールの大きい仕事をしてきた」とか、そういうことではなく、 本人が何をしたかが重要 だと痛感したので、学びを止めずに40代に向けて欲しいスキルを取得していきます。

最後に、これは月並みですが、せっかく身に着けた英語力を衰えさせないように、なんとか精進し続けたいです。

Vol.1、2、3、4をまだ読んでいない方はこちらから↓

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