【社会人の海外留学 Vol.1】留学で得られるもの|これからのキャリアにつながる「留学」とは?
30代。がむしゃらにやっていた20代を終え、なんとなく自分の人生を俯瞰できるようになってくる時期。
仕事やプライベートは上手くいっていないわけではないけれど、「何か違う」「もう一歩自分の殻を破りたい」そう思っている方々に読んでもらいたいのが、本記事です。
今回は、30歳からの海外留学について、留学を通じて得られるバリューについて語りたいと思います。
本記事は、会社を辞めて数年の長期留学というよりも、長期休暇や休職期間を利用した留学を想定しているので、旅行の延長線のような気分で気軽に読んでいただきたいです。
留学の目的とは?
「海外留学」と聞くと、キラキラしたいいイメージがあると思いますが、そんな憧れだけでは行動に移さないのが30代でしょう。そんなリスクに慎重な大人たち向けに、留学の目的設定について、実際の例を交えながら考えていきたいと思います。
留学経験者の目的例
まず、30代で海外留学をした人たちがどんな目的で留学したのか、3つの事例を紹介いたします。
語学力アップ
英語をはじめとする外国語の習得は、留学の最も一般的な目的のひとつです。日本で学ぶよりも、英語圏やその他の言語圏に身を置くことで、より効率的に語学力を伸ばすことができます。語学力は、グローバル化が進む現代社会において、仕事やプライベートでのコミュニケーションに欠かせないスキルであり、生涯年収にも影響すると言われています。30代であれば、自分の目標やレベルに合わせて、語学学校や大学などの教育機関で学ぶことができます。また、現地の人々との交流や旅行などを通じて、語学以外の知識や経験も得ることができると言われています。
キャリアアップ
30代は、自分のキャリアについて見直す時期です。海外留学を通じて、自分の専門分野を深めたり、新たなスキルや資格を取得したりすることで、キャリアアップを目指す人も多いと言われています。海外の大学院や専門学校で学ぶことで、日本では得られない最新の知識や技術を身につけることができます。また、海外での教育経験は、帰国後に再就職活動や転職活動でのアピールポイントにもなりえますし、海外でのネットワークや人脈も、将来のキャリアに役立つ可能性があります。
海外での教育経験
30代で海外留学をする人の中には、自分の子どもの教育のために留学する人もいます。日本の教育制度に不満を持ったり、子どもにグローバルな視野や柔軟な思考を身につけさせたいと考えたりする親が、子どもと一緒に海外に渡るケースが増えているようです。海外の教育制度やカリキュラムは、日本とは大きく異なるものが多く、子どもにとっては刺激的で楽しい学びの場になるかもしれません。親子で海外留学をすることで、家族の絆も深まるというメリットもあります。
留学の目的の考え方
以上でご覧のように、30代で海外留学をする目的は人それぞれです。しかし、どんな目的であっても、留学を成功させるためには、渡航前に自分の目的を明確にすることが大切です!自分の目的を明確にすることで、留学先や期間、プログラムなどを選択する際の基準になり、留学中も自分の目標に向かって努力することができるようになります。では、自分の目的を明確にするにはどうすればいいのでしょうか。ここでは、留学の目的を考える際の参考になる 2つのポイント を紹介します。
1.留学したい理由を考える
まず、 自分がなぜ海外留学をしたいのか 、その理由を考えることが重要です。自分の現状に満足していないのか、自分の将来に不安があるのか、自分の夢や希望を叶えたいのか、など、自分の気持ちに正直に向き合うことが必要となります。また、海外留学をすることで、自分にどんな変化が起こると期待しているのか、そのイメージも明確にすることが望ましいです。自分の理由や期待を明確にすることで、自分にとって 本当に必要な留学であるかどうか を判断することができます。
2.達成後の姿を明確に想像する
次に、 自分が海外留学を終えた後、どのような姿になっていたいのか、そのビジョンを描くことが大切 です。例えば、語学力をアップしたいのであれば、どの程度のレベルに達したいのか、どのような場面で英語を使いたいのか、など具体的に考えることが必要となります。また、キャリアアップや専門スキルの習得を目指すのであれば、どのような職種や業界に就きたいのか、どのような資格や技術が必要なのか、などプランを明確にすることが望ましいです。自分の達成後の姿、成果を描くことで、自分の目標を具体化することができます。
留学で得られるもの(スキル面)
以下では、海外留学によって具体的にどのようにスキルアップできるのか説明します。職場では中堅層、輝かしいスキルを求められる30代にとっては重要なところでしょう。
まず、想像に易いとは思いますが、どれだけの時間・予算をかけられるか次第で得られるもののレベルが変わっています。特に語学力については、個人差や留学先の環境、学習方法などによって変わってきますが、長期間の留学ほど効果が高いと言えます。そのため、以下では期間別に説明していきたいです。また、英語力については、日本でメインに使用されているTOEICを使って客観的に解説していきます。
1~2週間
- 一般的に、留学前のTOEICスコアが400点程度の初級者であれば、1~2週間の留学で 50~100点 アップ。
- 期間が短い分、スコア面では大幅な成長は見込めませんが、語学留学では、英語を使わざるを得ない状況に置かれるため、英語に慣れるとともに、 英語を使うことへの恐怖心や抵抗感を克服 することができると言われています。
1ヶ月~3ヶ月
- 一般的に、留学前のTOEICスコアが400点程度の初級者であれば、1~3ヶ月の留学で 100~200点 アップ。
- 一般的には英語力ゼロ、英語が話せないという状態から 初級英会話レベルの習得に3ヶ月かかる と言われているので、スピーキング面で効果を実感したい場合は最低でも、2ヶ月、3ヶ月の時間を取るのがおすすめです。
4ヶ月~9ヶ月
- 一般的に、留学前のTOEICスコアが400点程度の初級者であれば、4~9ヶ月の留学で 200~300点 アップ。
- 半年間、英会話を勉強すると確実に伸びを実感するという様々な実験結果が出ています。
- このくらいの期間があれば英会話以外に 現地で資格が取れる 可能性があります( Vol.2 参照)
10ヶ月~1年
- 一般的に、留学前のTOEICスコアが400点程度の初級者であれば、10ヶ月~1年の留学で 300~400点 アップ。
- このくらいの期間があれば、国によってはMBAを含む大学院を修了でき、「 海外大学院修了 」という実績を残せるようになります。
- 大学院出願時には TOEFLやIELTS が必要となり、TOEIC以外の国際的に主流な(TOEICは実は日本や韓国など特定の国でしか通用しない)英語資格の取得のきっかけとなるでしょう。
以上のように、留学で得られるものは多くありますが、それらはすべて留学者の努力や姿勢にかかっています。貴重な機会を最大級生かせるように、しっかり目標設定していただきたいです。
勉強だけが留学の醍醐味ではない!資格取得以外のメリット
すでに留学のメリットを感じていただけたかと思いますが、メリットは語学習得や資格取得だけではありません。著者は、 今後の人生観を左右するさまざまな「経験」 を得られるのが、留学の醍醐味であると考えます。
驚きの連続、文化交流
留学先の国の文化や習慣に触れることで、 日本とは違う価値観や考え方 に出会うことができます。これは、自分の視野を広げるだけでなく、 異文化理解やコミュニケーション能力 を高める効果もあります。例えば、以下のようなことに驚くかもしれません。
友達との約束の仕方
日本では、友達と遊ぶときは、予定を1週間前に決めたり、当日にキャンセルしたりするのは失礼だと思われることが多いです。しかし、海外では、友達との約束はもっと気軽で、 直前に変更 したり、 当日に誘ったりするのが普通 だったりします。これは、日本人が時間や計画を重視するのに対して、海外の人は柔軟性やスポンテニティを重視するからだと言えます。
知らない人に気軽に話しかける
日本では、知らない人に話しかけるのは控えめになったり、警戒心を持たれたりすることがあります。しかし、海外では、知らない人に話しかけるのはコミュニケーションの一つの手段であり、友好的な態度として受け入れられることが多いです。これは、日本人がプライバシーを尊重するのに対して、海外の人はオープンに自分を表現することを好むからだと言えます。
海外から見た日本を知ることができる
留学先の国の人たちと交流することで、 海外から見た日本のイメージや評価 を知ることができます。これは、自分の国の長所や短所を客観的に見直す機会になるだけでなく、 日本の国際的な立場や役割 を考えるきっかけにもなります。例えば、以下のようなことに気づくかもしれません。
アジア内での日本の評価や影響力は非常に高い
日本はアジアの中でも経済的にも文化的にも影響力の高い国であり、インドなど国によっては 日本は「ロールモデル」 として初等教育の場で教えられているようです。また、日本語を学ぶ人も多く、日本に対する人気度も高いです。
逆に、ヨーロッパ内での日本の存在感は意外と薄い
もちろん人によりますが、日本はヨーロッパの人たちにとっては、 遠く、小さく、特殊な国 です。ヨーロッパの人たちは、日本の歴史や文化、社会や政治にあまり詳しくないことが多い印象があります(よく、「イーストアジア」として中国・韓国とひとくくりにされます)。日本語を学ぶ人も少なく、日本に対する関心度も低いと言えます。
日本人の海外から見た良い・悪いイメージ
日本人は海外から見ても、礼儀正しく、勤勉で清潔、親切だといういいイメージがあるようです。しかし、一方で、内向的・保守的・排他的だという悪いイメージを持たれていることもあります。また、日本人は自分の意見をはっきり言わないため、コミュニケーションが難しいと感じられることもあります。
現地でのネットワークの取得
留学先の国で、学校やコミュニティを通じて、さまざまな国や背景の人たちと知り合うことができます。これは、自分の人間関係を広げるだけでなく、 異文化間の理解や対応力を深める効果 もあるでしょう。例えば、以下のような方法でネットワークを取得することができます。
学校でのネットワーク
留学先の語学学校や専門学校、大学院などでは、同じクラスやコースの学生だけでなく、他のクラスやコースの留学生たちとも交流する機会があります。学校主催のパーティーやイベント、スポーツやサークルアクティビティなどに参加することで、自分と同じ目的や趣味を持つ人たちと仲良くなることができるでしょう。また、学校でのネットワークは、勉強や海外生活のサポートだけでなく、 将来のビジネスキャリア にも役立つ可能性があります。
現地のコミュニティを通じて
留学先の国で、現地の人たちと交流するためには、学校以外のコミュニティにも参加することがおすすめです。以下で3つの例を紹介します。
① スポーツチーム、音楽団体など
自分の好きなスポーツや音楽を通じて、現地の人たちと楽しくコミュニケーションをとることができ、リフレッシュの機会になります。スポーツチームや音楽団体は、インターネットで簡単に探すことができ、レベルや年齢に合わせて選ぶことができます。
② キリスト教会
欧米では教会で高頻度に地域交流イベントを開催しており、留学先の国で教会に通うことで、地域の住民と簡単に交流することができます。これらのイベントはキリスト教徒でなくとも参加可能です。
③ Meetup
Meetupとは、インターネット上でグループを作り、イベントを通じて実際に人々が会うことができるサービスです。世界180ヵ国以上で展開されているサービスでスポーツや音楽など共通の趣味グループもあるほか、「英語を練習する」ことを目的としたグループや「〇〇人コミュニティ」など数えきれないほどのグループがあり、一人ひとりの興味に基づいて気軽に友人を作ることができます。
Meetupについては、こちら↓の記事もどうぞ
人種問題、国際問題に触れる
日本は世界的に見て移民が異常に少ないため、 人種問題や国際問題 を身近に感じない人が多いと思います。しかし、他の国は違います。留学先の国では、人種や民族の多様性が高く、これらの問題が日常的に起こっている状況です。これらの問題に直面することで、自分の価値観や立場を見直すことができます。例えば、以下のようなことがあるかもしれません。
著者の実際の人種差別体験
著者はロンドンに留学時、家の近所の公園で急にユダヤ人男性に「日本人か!日本人はただ勤勉なだけで英語が下手くそな愚かな人種だ!」と急に罵られた経験があります。罵られた瞬間はただ怒りと悲しみを感じましたが、それをきかっけに、なぜそう見られるのか、 日本人としての「自分」 を見直した瞬間でした。
ウクライナ難民との現地での交流
著者は、留学先のイギリスで、ウクライナからの難民と交流する機会がありました。ウクライナ難民は、自分の国で起こった紛争や政治的圧力によって、命を危険にさらして逃げてきた人たちです。彼らは、留学先の国で新しい生活を始めるために語学や職業の勉強をしており、彼らと話すことで、著者は 自分の国の平和や安定を当たり前 だと思っていたことに改めて気づきました。
中国本土・香港・台湾出身の人々との交流
著者は、留学先の国で、中国本土・香港・台湾出身の人々と交流することが多々ありました。日本には3国の違いを理解していない人がいますが、当たり前のことですが彼らは一緒にされることを非常に嫌っています。 各国の政治的、文化的背景を勉強することは国際交流の上で非常に大事 だと痛感しました。
留学しなくても英語はできるようになる?!
最近、「海外留学なし、独学で英語がペラペラになる!」と謳っているYoutuberやオンライン英会話サービスがありますが、著者の所感、これは間違いないと思います。たくさんの優良サービスがあるおかげで、正直日本国内でも十分に英語を上達させることはできる時代になりました。実際に著者は、イギリス留学前に独学で IELTSのスコアを1ヶ月で1ポイント 伸ばしています。
しかし、大事なのは 「どうモチベーションを保つか」 です。
断言します。著者はイギリスに留学するという目的がなかったら、IELTSのスコアを短期間で1ポイントもあげられなかったと思います。ここで言いたいことは、留学しなくても英語はできるようになりますが、留学の準備を通じて、効果的に英語学習ができるようになります。
英語習得に必要な勉強時間
英語を話せるようになるまでに必要な勉強時間は、諸説ありますが、一般的には 約3,000時間 と言われています。これは、英語の知識が全くない人が、仕事で使えるレベルの英語を身につけるまでにかかる時間の目安です。中学・高校・大学で英語を学んだ人は、すでに 約1,000時間 の学習をしていると考えられるので、残りは 約2,000時間 となります。
この2,000時間という数字は、決して短い時間ではありません。 毎日2時間勉強したとしても、3年以上 かかります。この長時間を、何の目標もなく、ただ単に英語を勉強するというだけでこなすのは、非常に大変であり、やがて飽きてしまったり、挫折してしまったりする可能性が高いです。そこで、英語学習にモチベーションを持つためには、具体的な目標が必要であり、その目標の中でも、効果的なのが「留学」であると考えます。
留学がもたらす英語学習へのメリット
留学という目標を持つことで、英語学習には以下のようなメリットが生まれます。
- 例えば、大学院留学には IELTSやTOEFLなどの英語検定試験のスコアが必要 なので、それをベンチマークとして勉強することができます。検定試験は、英語の4技能(リーディング、リスニング、ライティング、スピーキング)を総合的に測るので、バランスのいい英語力を身につけることができるでしょう。大学院ほどの資格ではなく、英会話学校に行くとなっても、そこにはクラス分けテストというものが存在し、入学後にレベル別に分けられます。レベルの高いクラスへ入るとよりレベルの高い授業を受けることができ、費用対効果が上がるため、それを目標にするのもよいでしょう。
- 留学には 費用や手続きなどの準備が必要 なので、それをクリアするために努力することができます。留学にかかる費用は決して安くはないので、それを無駄にしないためにも、英語学習に真剣に取り組むことができます。
- 留学には期限がある ので、それまでに英語力を上げるという緊張感を持つことができます。期限があると、人は自然と集中力や効率が高まり、学習スケジュールを立てやすくなります。また、留学先で英語を使うことを想像すると、英語学習に楽しみや期待を持つことができます。
以上のように、留学という目標を持つことで、英語学習にモチベーションを持ち続けることができます。留学しなくても英語はできるようになるかもしれませんが、留学の準備をすることで、学習を効果的に進めることができると言えるでしょう。
机に向かう勉強だけではない!留学で楽しいこと
留学は、勉強だけでなく、日常生活も楽しむことができます。
留学先の国や地域によっては、日本からではリーチしにくい先への 海外旅行に行きやすい です。例えば、ヨーロッパに滞在すると、各国がとても近くかつフライトが安いので、週末にいろんな国に旅行に出かけ、リフレッシュすることができます。
また、 留学先の国の食べ物 も楽しむことができます。例えば、アメリカやイギリスは移民の国なので世界各国のレストランが集まっていますし、メキシコではとてもおいしいトルティーヤ料理を食べたり、タイではエキゾチックな料理を食べたりすることができるでしょう。世界の料理は多彩で本当においしいです。
さらに、 日本ではなかなか体験できないようなエンターテイメントや文化 を満喫することができます。例えば、ニューヨークのブロードウェイで本場のミュージカルを観たり、ラスベガスのカジノでギャンブルをしたりと、アメリカのエンターテイメントは圧巻です。ヨーロッパでは、サッカーの試合を観たり、オペラやバレエを観たり、オクトーバーフェストやカーニバルなどのお祭りに参加したりなど、世界各国の魅力を知るには時間が足りないくらいです。
自分を変える人生体験、海外留学に行こう!
まとめとして、留学は勉強だけでなく、現地での生活や旅行も楽しむことができ、忘れられない思い出や貴重な経験を与えてくれます。
留学を120%楽しむために、出発前にしっかり目的設定をして充実した留学生活を実現しましょう!
出典・参考
- 神田外語学院
- QQ Kids
- School with
- DaiGo著『科学的に正しい英語勉強法』P92
やってみよっか?