【リヤド】サウジアラビア旅行体験記!アラビア世界に染まる2泊3日
2019年9月に待望の観光ビザ解禁を迎えた中東の国、サウジアラビア。これまでイスラム教の巡礼目的を除く外国人の渡航は原則NGとされていましたが、近ごろ大きく緩和され話題を呼んでいます。かつて「世界一入国が難しい」と揶揄された国だけに情報は少ないですが、だからこそ訪れてみたいという人は多いはず。
筆者もそんな願望を抱く旅人のうちの一人でした。そして2023年7月、遂に念願のサウジアラビア旅行へ!今回は現地を訪れたベルトラスタッフの視点を交えて首都リヤドの魅力をご紹介していきます。
旅のロマンに誘われて
アッサラーム アライクム(Assalamu alaikum)、イスラム圏を訪ねると頻繁に耳にするこの挨拶には「あなたに平安がありますように」という平穏な祈りが込められています。
サウジアラビアといえば預言者 ムハンマドの故郷であり、世界中から年間数百万人もの人々が巡礼に訪れるイスラム教発祥の地です。日本で暮らしているとイスラム教に触れる機会はほとんどありませんが、仏教やキリスト教と並ぶ「世界三大宗教」の一つであり、実はとても身近な存在なのです。
今回ご紹介するのは、首都リヤド。サウジアラビアを訪れるなら欠かせない都市なので、ぜひ参考にしてみてください。
旅の玄関口は首都リヤド
東京からサウジアラビアまでは直行便が就航しておらず、乗継便でのアクセスとなります。経由地での乗継時間によりますが、所要時間は最短で約14時間程度。
今回の旅行で利用したのはエティハド航空なので、アブダビ国際空港でのトランジットとなりました。
待ち時間が3時間10分と短かったので、第1ターミナルのラウンジにてひと休み。ビュッフェやシャワーのほか、ご覧のような半個室のスペースも備えられており快適そのものです。
アブダビからリヤドまでのフライトは本当にあっという間でした。夜中の到着でしたが窓の外に広がる景色が想像以上に都会でびっくり!
リヤドの空港に到着すると早速噴水がお出迎え。すれ違う人々の多くは民族衣装に身を包んでいて「異国の地に来たのだな」と改めて実感。この民族衣装は他の中東諸国でも見かけるようなスタイルなのですが、サウジアラビア(特にリヤド)の着用率の高さは圧倒的です。
3分で入国審査完了
事前にeビザを取得していたので、入国手続きはとてもスムーズでした。
ただし、筆者の場合はスムーズ過ぎて入国スタンプと一緒にパスポートページに記入されるはずのIDが忘れられてしまい、後で少し困る事態に発展…。入国スタンプが押されたら、念のため手書きのIDが記入されているか確認することをおすすめします。
空港から中心部までの移動手段
空港から市内中心部は車で30分の距離です。到着ホールに「Shuttle Bus(シャトルバス)」の表示がありますが、これはターミナル間の移動に使われているバスなのだそう。
今のところ、ホテルにまっすぐ向かうならタクシーまたは事前に空港送迎サービスを手配しておくのが無難でしょう。ちなみに、スマホの配車アプリ Uber(ウーバー)やCareem(カリーム)も機能しています。
支払いはキャッシュレスが基本
到着ロビーの両替所にて日本円の表示を発見。筆者は念のため成田空港で現地通貨を調達していたのですが、サウジアラビアはかなりキャッシュレスが浸透しているといった印象。
正直なところ、帰国までに現金が必要な場面は無かったので両替を行う額は皆さんにお任せします。
4つ星ホテル滞在レビュー
ということで、ようやくホテルにチェックイン。
宿泊したのは ハイアット プレイス リヤド アル スレイマニヤ のキングルーム(32平米)。
客室はシンプルモダンなデザインを採用し、広々としたL型ソファおよびワークデスクが備えられています。
スタッフは程よい距離感で、海外特有のフレンドリーすぎる接客が苦手な方にとっては過ごしやすいように思えます。
ホテルが位置するのは、中心部の目抜き通りから3.5km程のロケーション。すぐ目の前の通りには路線バスが走っているので、うまく利用すれば市内での移動が楽になるかもしれません。
宿泊料金にはビュッフェ式の朝食が含まれており、食事のラインナップも十分。ベーカリーコーナーのレイアウトがおしゃれで朝から気分が上がります。
宿泊料金に朝食が含まれているのも嬉しいポイントです。普段より早起きしてちょっとした贅沢を味わっててはいかがでしょうか。
リヤドのホテルは1泊いくら?気になる相場
海外旅行の際に欠かせないのが、ホテルの予約。
近年、世界中には格安のゲストハウスから洗練されたラグジュアリーホテルまで様々なタイプの宿が溢れていますが、サウジアラビアは少し異なります。
この国では宗教の都合上、ドミトリーのような宿泊形態は基本的に認められておりません。ホテルはすべて個室となるので、宿泊費用抑えるなら2名以上で旅行する必要があります。
ホテルの宿泊料金は1泊 10,000~15,000円が相場です。もちろん中東らしさたっぷりの豪華絢爛なホテルも存在するので、お金に余裕のある方はぜひ泊まってみてください。
砂埃で窓が汚れてしまう問題
サウジアラビアのホテル選びで一つだけ注意したいのが、高層階フロアの予約。
客室を選ぶ際に眺望を重視する人は多いですが、サウジアラビアを含む中東諸国は砂漠に囲まれているため砂埃で窓が汚れるのは避けられません。眺望はあまり期待せず、あくまでオプションといった認識でいるのが理想です。
エキゾチックなアラブ世界を体感
リヤドに滞在したのは合計3日間。
駆け足で観光したのでシャワルマなどストリートフードに挑戦する余裕はありませんでしたが、定番の観光スポットはひと通りカバーできたと思います。
サウジラビアについて知ろう
最初に訪れたのは、リヤドにある国立博物館。
館内ではサウジアラビアの自然や歴史、宗教を8つのセクションに分けて展示しており、サウジアラビアという国の成り立ちがよく理解できる構造になっています。
個人的に興味深かったのはサウジアラビアの歴史を辿るコーナー。アラビア半島はイスラム以前はメソポタミア文明とインダス文明を繋ぐ海上交易で栄えていたそうで、実は古代エジプトと並ぶほど長い歴史を誇る土地というから驚きです。
これまでに中東諸国を訪れたことがある人は、周辺諸国の歴史や文化との共通点が見出せるので面白いと思います。
特定の分野に偏ってしまうと興味を削がれてしまいますが、こちらの博物館は程よい情報量をバランス良く取り揃えているので飽きずに見学できます。
正直、サウジアラビア旅行を楽しむためのイントロダクションはこちらで完結すると言っても過言ではありません。そういった意味では1番最初に訪れておきたい場所です。
次は国立博物館の裏手に位置する、ムラッバ宮殿へ。
緑豊かな広場を抜けた先にあるのは初代国王が築いたといわれる旧王宮。
内部は記念館として一般公開されており、ご覧のような高級車を含む王室ゆかりの品々が展示されています。
1万人以上で構成される王族
こちらのアートは、サウジアラビア王家でお馴染みのサウード家のファミリーツリー(家系図)です。
王族は第6世代まで合わせると総勢1万人を超えるといわれ、その規模には圧倒されるばかり。
伝統の建築様式に着目
建物はサウジアラビア中央部に位置する砂漠地帯に伝わるナジュド様式を採り入れた造りで、白を基調とした美しい中庭が目を惹きます。
中心に佇むヤシの木が南国感...いや、砂漠なので「オアシス感」というのが適当でしょうか。
足元には可愛いタイルの装飾が施されています。
廊下もご覧のような雰囲気で、ガイドさんの後ろ姿がとても絵になります。
この宮殿は窓枠やランプに至るまですべてが素敵なので細かいポイントにも目を向けてみると、見学をより楽しめると思います。
建築用の木材も中東ならでは
上を見上げると、天井がユニークな造りをしていることに気付きました。
ガイドさん曰く、これはヤシの木と葉を組み合わせたもので夏は涼しく冬は暖かいのだそう。どうやら日本の茅葺(かやぶき)と同じような効果があるそうです。
こちらは国王に謁見するために使用されていた待合室。
残念ながら部屋の中に足を踏み入れることは出来ませんが、入口からの見学や写真撮影は可能です。
他にも複数の部屋が見学用に開放されており、 国立博物館と共に無料で開放 されているので、ぜひ足を運んでみてください。
話題のカフェで贅沢ランチ
お昼は人気のカフェ 「Iris Cafe(アイリス・カフェ)」 を訪ねました。リヤドに住むサウジアラビア人の友人曰く、最近SNSで話題となっているおしゃれスポットなのだそう。
Ramla Terrazaという複合施設内に位置しており、すぐ隣には日本食のレストラン「Clap」もあります。
メニューは地中海、日本、ラテンアメリカなど様々な国や地域からインスピレーションを得たものでバラエティー豊かです。
前菜のディップは、グアカモーレと竹炭を練り込んだフムス。
フムス(Hummus)はひよこ豆をペースト状にしたものにゴマやオリーブオイル、レモン果汁を混ぜたもので、中東諸国で広く親しまれています。
筆者はこれまでに中近東11ヵ国を訪れたことがあるのですが、こんなにモダンなフムスを見たのは初めてです。
料理は全体的にクオリティーが高く、どれも日本人の口に合う味わいです。特に、カリフラワーのフリッターは思い出すだけでまた食べたくなるほどの絶品でドハマりしました。
地上302mの展望スポットからリヤド市内を一望
お腹が満たされた後は、リヤドのランドマーク的存在でお馴染みのキングダムセンターへ。
栓抜きのようなユニークな見た目が特徴で、高さ302mを誇るリヤドで最も高いビルとして知られています。東京タワーが333mなので、それと同じくらいの高さを想像してもらえると分かりやすいでしょう。
ここは複合商業施設でホテルやオフィスのほか、ショッピングモールや映画館も併設されているので誰でも気軽に訪れることができます。
今回のお目当ては、最上部のブリッジに設けられた展望スペース 「SKY BRIDGE(スカイブリッジ)」 。
入場料は大人2,700~2,800円と少しお高めですが、払う価値はあります。
筆者は日中に訪れましたが、時間に余裕のある場合は日没の30~40分前を狙ってサンセットと夜景の両方を楽しむのがおすすめです。
夕方から楽しめるリヤドの見どころ
リヤドには夜でも楽しめる見どころが盛り沢山!夏の暑さが厳しいサウジアラビアでは日没以降に活動することが多く、子供連れの家族が遅い時間に出歩くのも珍しくありません。
カフェやショッピングモールは夜11時頃まで営業しているので、明るいうちに出来るだけ屋外の観光スポットを巡り、暗くなってからお買い物を楽しむというのも選択肢の一つ。
夕方以降に到着するフライトを利用する場合でも、リヤドなら1日目から充実した体験ができること間違いなしです。
世界遺産 ディルイーヤ遺跡
リヤドに行くなら必ず訪れていただきたいのが、ディルイーヤのツライフ地区。ここは1744年から1818年までサウード王朝最初の首都が置かれた古都です。
中心部から車で20~30分の距離なのですが、実際に訪れてみると想像以上に異世界感が漂う場所でびっくり。
「リヤドで一番おすすめな観光スポットはどこか」と聞かれたら、筆者は真っ先にディルイーヤ遺跡と答えるでしょう。それくらい良いところで、都市部に居ながら異国情緒にどっぷりと浸かれるのが魅力です。
またしてもガイドさんの後ろ姿が絵になるので、写真を撮ってしまいました。笑
筆者はこういう日本では見かけないようなデザインのドアに惹かれるのですが、共感できる人は居ませんか。
遺跡の周りはカフェやレストラン、ヤシの木が立ち並ぶ緑豊かな庭園がありモダンな雰囲気。正直ここだけで半日くらい過ごせます。
実は、キングダムタワーから向かう途中に帰宅ラッシュの渋滞に巻き込まれてしまい到着が遅れてしまったのですが、そのお陰でちょうど良い時間帯の見学となりました。
ここで見た遺跡のライトアップは、筆者にとってサウジアラビア旅行のハイライトです。
絶品の中東料理に舌鼓
夜は美味しい料理が評判のレストラン 「Beit Omar」 にて中東ディナーを満喫。
タブーレやフムスといった定番の中東料理からレバノン料理のKibbeh(キッベ)やFattah(ファタ)、ヨルダン料理のMansaf(マンサフ)などバラエティー豊かなラインナップが楽しめます。
写真はナスのムサカ。エジプトではトマト煮込み、ギリシャではクリームソースを挟んだムサカを食べましたが、サウジアラビアではシンプルな味付けでさっぱり食べやすい印象です。
こちらは中東で親しまれるお米で、短いパスタが一緒に炊き込まれています。日本では見慣れないダブル炭水化物ですが、アラブ諸国ではポピュラーな様子でよく見かけます。
筆者のお気に入りはカリフラワーを揚げた料理です。名前を覚えていなかったので後でレストランの公式サイトで調べてみたところ、普通に「クリスピーカリフラワー」でした。
右下のチキンクリームスープもおかわりしたいほどの美味しさ!近所にあったら間違いなく通いますね。
余談ですが、この旅を通じてサウジアラビアは日本よりカリフラワーが美味しいということに気付きました。日本のはなんとなくパサパサした食感ですが、現地のカリフラワーはなんて言うのでしょうか...とにかく味があってみずみずしいのです。
多分、人生でカリフラワーをこんなに熱く語るのはこれが最初で最後でしょう。
リヤド市内でお土産を物色
リヤドで最も賑わうショッピングスポットといえば、 タハリア通り(Tahlia Street) 。
筆者は知らなかったのですが、政府観光局に教えていただきました。
ショッピングストリートと聞いて銀座や表参道のような通りをイメージしていたのですが、サウジアラビアは車社会。歩きながら気になったお店を覗いて立ち寄るというよりは、それぞれ独立した建物が立ち並んでいるといった印象です。
筆者が訪れたのは タイバ・マーケット(Taibah Market) 、タハリア通りからは車で約8分の距離です。
「これぞ中東」といった趣が溢れんばかりの独特な景観が堪りません。
民族衣装のアバヤは200リヤル(日本円で約7,880円/2023年9月時点)前後が相場でした。
ディープなサウジアラビアの魅力を探る
こんな感じで初めてのリヤド旅はひとまず完結です。
筆者はどこかの国を初めて訪れることを アイスクリームテイスティング と呼んでいます。某アイスクリームチェーン店で少しだけ試食するのと同じで、旅もそれくらいカジュアルな存在であるべきだと考えています。
少し食べて、もっと味わいたいなら2度目、3度目と訪れれば良い。つまり、 旅に完璧を求める必要はない ということです。
そういった意味では、リヤドのテイスティングは個人的に大成功だったと思います。次回は郊外の砂漠 「世界の果て」 やセノーテのような洞窟 「Heet Cave」 へ足を延ばして自然も満喫したいです。
次は、サウジアラビア西部に位置するアブハー(Abha)とジャザーン(Jazan)での滞在記をレポートします。主要な都市だけでなく、少しユニークな側面を持つエリアを訪ねてみたいという方はぜひご覧ください。
やってみよっか?