【ハンドメイド】パラグアイの伝統的な技法「ニャンドゥティ刺繍」って?歴史や特徴をご紹介~世界の刺繍~
世界には、さまざまな種類の刺繍が存在します。
国や時代ごとに異なる表現が編み出されてきた刺繍はどれも美しく、見ているだけでとても楽しいです。
今回は、そんな刺繍の中から、パラグアイに伝わる伝統的な技法「ニャンドゥティ刺繍」をご紹介します。世界の刺繍から、その国の歴史や文化を紐解いていきましょう。
ニャンドゥティ刺繍とはどんな刺繍?特徴と刺し方
ニャンドゥティ刺繍は、パラグアイに伝わる伝統的な手工芸です。
パラグアイは南アメリカの中央南部に位置する国で、ボリビア、ブラジル、アルゼンチンと国境を接しています。日系の方も多く住んでいることから、親日国であるとも言われているそうですよ。
そんなパラグアイで発展したニャンドゥティ刺繍は、カラフルな糸で描き出されるレース編みのような模様が特徴の手工芸です。刺繍枠にピンと張った張った布に対して、針で土台の糸を縫い刺し、そこにカラフルな糸でかがったり結んだりすることで織るように模様を編んでいきます。模様を編み終えたら刺繍枠に貼ったまま糊付けをして、乾燥してから布を外して完成です。
親から子へと各家庭で受け継がれてきたニャンドゥティ刺繍は、現在350種類以上の模様があると言われています。そのデザインは、馬や鳥といった動物やジャスミンやハイビスカスといった植物から、ほうきやネックレスといった身近なもの、さらには動物の足跡やダニをモチーフにしたユニークなものまでさまざま。
完成した作品は、ドレスやアクセサリーなどに仕立てられます。温暖な気候で培われた明るくてカラフルなデザインは見ているだけで元気になりますね。
ここからは、発祥地や歴史をさらに詳しく見ていきましょう。
ニャンドゥティ刺繍を学ぶには?
ニャンドゥティ刺繍を学ぶには、どうしたらいいのでしょうか?ニャンドゥティ刺繍には、以下の道具が必要です。
- 刺繍枠
- 目の粗い布
- 先の尖っていない刺繍針
- 色とりどりの刺繍糸
- ハサミ
- 洗濯糊や乾くと透明になるボンドなど
- 図案を写すための道具
ニャンドゥティ刺繍では最後に布を外して作品を完成させるので、なるべく目が粗めの布を使用するのがおすすめです。糸は本来、ニャンドゥティ刺繍専門のコットン100%糸が販売されていますが、普通の刺繍糸でも問題ありません。針はフランス刺繍針のような先の尖ったものだと糸を傷つけてしまう恐れがあるため、先の丸いものを使用しましょう。
ニャンドゥティ刺繍は複雑な模様が多いため、初心者の方が独学でチャレンジするには少しハードルが高そうですよね。ですが、最近では型紙付きの解説本も出版されているため、簡単な作品ならおうちでトライできそうです。使用するものも意外と少なく、身近な材料で始められるのが魅力的です。
レッスン教室は少ないですが、全国のカルチャーセンターで講座も開かれているので、1人で始めるのが不安という方はお問合せしてみてくださいね。
ニャンドゥティ刺繍の歴史
パラグアイの伝統手工芸として知られるニャンドゥティ刺繍ですが、もともとはアラビアが発祥の地です。パラグアイに持ち込まれたのは17世紀から18世紀のころ、カナリア諸島とスペインを経てキリスト教とともに伝わりました。
カナリア諸島にあるレースの産地テネリフェ島に伝わる テネリフェ・レース とスペイン語で太陽を意味する「ソル」の名前を冠した ソル・レース が、パラグアイで独自の発展を遂げたものがニャンドゥティ刺繍です。そのため、先ほどもご紹介した通り、その図案にはパラグアイの地域に根ざしたデザインが施されています。また、スペインのレースは白や生成りの糸を用いますが、ニャンドゥティ刺繍はカラフルな糸を使うのが特徴です。
「ニャントゥディ」は、南アメリカ先住民族であるグアラニー族の言葉で「蜘蛛の巣」という意味を持ちます。細い糸で丸く編まれた作品は、たしかに蜘蛛の巣のようにも見えます。
ニャンドゥティ刺繍の有名な地域
ニャンドゥティ刺繍の産地は、パラグアイの首都アスンシオンから南東に30Kmほど離れたイタウグアという町が有名です。他にも、イタウグア付近の湖のほとりにある町ウパカライや近隣の町ピラジュなどでも生産されており、それぞれの地域で異なる作風を持っているそうです。
パラグアイの伝統技法ニャンドゥティ刺繍
みているだけで気分が明るくなるカラフルなニャンドゥティ刺繍。
しかし、近年は職人の高齢化と後継者不足に悩まされており、国を挙げて技法の存続に取り組んでいるそうです。地域に根ざした手工芸は魅力的な一方で、趣味として始めるハードルが高く、伝統を継承するのが難しいという問題があります。
ですが現代では、パラグアイという遠い地に足を運ばなくても、本や動画で技法を学ぶことができます。ラテンアメリカの文化が好きな方や新たな趣味を見つけたい方、珍しい刺繍を始めてみたい方、未来の後継者を目指してニャンドゥティ刺繍に挑戦してみませんか?
やってみよっか?