タ・ソムは、カンボジアにあるアンコール遺跡のひとつです。規模の小さな、バイヨン様式の平地型寺院の仏教寺院で、アンコールトムの北西に位置します。タ・プローム遺跡やプリヤ・カーン遺跡と同様に、修復がされないまま多くの木や植物に覆われているような状態になっています。タ・ソムとは「ソムおじいさん」の意味です。周囲は森に囲まれ、天気の良い日には木漏れ日の中をのんびりと散策が出来そうな、雰囲気の良い寺院の遺跡です。
歴史
タ・ソムは12世紀末に、ジャヤーヴァルマン7世により、父であるダーラニンドラヴァルマン2世に捧げるために建てました。長らく修復されないまま、木に浸食され崩壊しつつありましたが、現在はワールド・モニュメント財団の修復プログラムに登録されたことにより、修復作業が開始されました。塔門には、アンコールトムと同じような四面仏があります。また、プリヤ・カーンの碑文によると、珠玉の白象寺院と述べられていて、22体の神体が安置されていたと言われています。
見どころ
この小さな寺院は崩壊が激しくまだ修復がされ始めたばかりなので、見どころは多くはありません。しかし、東塔門を大きな木が飲み込むように絡みついていて、木の根が紙面観音を覆い隠している様子は、建物の過ごした長い歴史と、人間の力を超えた自然の迫力を感じさせ、見る人を圧倒するものがあります。また、東西のうち門には美しい女神像が残っていて、塀の中には中央神殿を中心として8つの建物と2つの経蔵が建てられています。