民宿うり坊 絶品ジビエランチと集落散策 集落を守る猟師さんから「いのちをいただく」大切さを学ぼう＜農業体験付き／3時間／にし阿波・東みよし町＞

「民宿うり坊」のオーナーで、猟師でもある木下さんがお迎えします。地域の農作物を守るために、罠を使ったイノシシ猟を行う木下さん。民宿を始めてたくさんの方をお迎えする中で、自分たちの日常が都会から来た人にとっては特別な体験になると気付いたそう。特に子どもたちがうり坊での体験に驚きや喜びを見つける姿が嬉しく、ご自身の活力にもなっています。

民宿の目の前には畑が広がります。みかん、イチゴ、ぶどうなどの果物狩りから、ジャガイモやさつまいもなどの芋掘り。さらに大根、トマト、栗など季節ごとの作物の収穫ができ、実際にうり坊のお食事で提供しています。ここでしかできない、世界農業遺産に認定される傾斜地での農業を体験してみましょう。

「にし阿波」は、徳島県西部、美馬市、三好市、つるぎ町、東みよし町の2市2町からなる地域のことです。にし阿波の山間部にある集落は、険しい山々の中腹に形成されています。山や畑、石積みやコエグロ、家屋などが一体となった景観は、桃源郷とも称される日本の原風景で、昔話の世界感が目の前に広がります。

にし阿波の人々は、洪水をくり返す暴れ川と険しい山並みを暮らしの舞台として生き抜いてきました。山の神、水の神を祀り、自然を敬い、川の恵みや大地の恵みをいただいてきたのです。
急斜面では土をとどめるために石垣を築き、住まいを構えました。石や土は下へ下へと流れるため、その度に土を上げる手間隙かけた暮らしです。氏神様のお世話はもちろんのこと、石垣を築くのも、家を建てるのも、道を造るのも、村を挙げての共同作業。草刈りも力を合わせ、堆肥となるカヤも村総出で刈り取り、それを束ねて「コエグロ」を作りました。そうして生まれる独特の風景こそが、今は懐かしい日本の原風景です。

にし阿波には世界的にも珍しい「傾斜地農耕」という技術が受け継がれています。斜面地を傾斜のまま農地として活用し、米作りに適さない土地柄ゆえに、米の代わりに在来種の蕎麦や雑穀、自生種の山茶、在来野菜などが栽培されてきました。「そば米雑炊」「でこまわし」「ひらら焼き」など、この地ならではの食材から生まれた伝統料理も大切に受け継がれています。
こうした独特の景観や、伝統、食文化を体感できる集落が、にし阿波の各所に点在しています。先人の知恵と工夫にあふれた暮らし、素朴で滋味豊かな食べ物、地域の人との交流は、いつまでも記憶に残る体験となり、きっと明日への元気を与えてくれます。

いのちをいただくありがたさを知ってほしいと、木下さん自らが自宅に併設する加工所で丁寧に処理したイノシシのジビエは、臭みがなく食べやすいと大好評の看板メニューです。鹿が獲れた時には食べ比べも体験できます。目の前の畑で収穫した季節の野菜を盛り込んだ奥様自慢の田舎料理をお楽しみください。使用する水は集落の人たちが管理する湧水で、自然の恵みを十分にお楽しみいただけます。

食後は縁側でお茶など飲みながらゆっくりおくつろぎください。併設する加工場には木下さんが捕獲したイノシシの骨標本が並び、イノシシの立派な歯に実際に触ることができます。