海外赴任するときは日本人学校に通わせるべき?日本人学校で学べること
日本人学校とは、海外在住の日本人のための学校。日本国内とほぼ同等の教育を受けながら、現地に根差したさまざまな教育プログラムに参加することができます。
今回は、日本人学校に通っていた経験のある筆者が日本人学校での生活や、現地校など他の学校との違いなどを紹介します。
日本にいるのとどう違う?日本人学校での体験
筆者が日本人学校に通っていたのは、15年ほど前のこと。ロンドンとデュッセルドルフに合わせて2年半在籍していました。
システムの情報などはなるべく最新のものを調査していますが、 体験談の部分は現在と違う部分が多々ある可能性があります 。ご了承ください。
日本人学校のシステム・人数
日本人学校は 全世界に94校 あり、各国で日本の学習指導要領に沿った教育を行っている施設です。日本国籍があれば入学が認められ、多くの生徒は日本に帰国するまでの期間在学しています。
人数は場所や時代によりますが、私がデュッセルドルフに通っていたころはかなり生徒数が多く、25人ほどの学級が3クラスあった記憶があります。現在は、 1学年およそ60名程度 のようです。
中学に上がるタイミングで日本に帰国して帰国子女として国内の私立校に入学する学生も多いので、中学になるともう少し人数が減る傾向にあります。
実際に通うことを検討している場合は、学校だよりなどを見て情報を確認してみるとよいでしょう。
学校の雰囲気や授業内容
通っている子どもは日本各地色んな所から来ていて、多くの場合は親の都合で転校が決まります。
長期休みのたびに誰かが転校していき誰かが転入してくるため、 新しく来た子どもを受け入れるのもとてもスムーズ 。ですので、入っても馴染めないのでは…?などの心配はあまりしなくてもよいと思います。
子どもたちの大多数は帰国後を見据えて現地にある日本人向けの学習塾に通っているので、普通の小学生よりもたくさん勉強している傾向にあります。
学校の授業でも英語の勉強に力を入れていたり、中学受験の内容に少し踏み込んだりと、 日本と同じもしくはやや高度な内容を扱っていることが多い です。
現地校に通わせるべき?学校選びの基準とコツ
海外赴任が決まった親御さんの多くは、「日本人学校」「現地校」「インターナショナルスクール」のどこに子どもを通わせるか(もしくは日本に残していくか)悩むことと思います。
どの形式の学校も一長一短なので、 その子に合った学校を選ぶことが大切 です。
ここからは、他の学校との違いや学校選びのコツをお伝えします。
日本人学校と現地校・インターナショナルスクールの違い
せっかく海外で生活するなら現地校やインターナショナルスクールで語学力を身につけてほしい…そう思われる親御さんも多いですよね。
日本人学校以外を選べば、 学校で日常的に第二言語を身につけられる ので、受験やその後の人生にも役立ちます。
ただし、当たり前ですが、現地校やインターナショナルスクールに通う場合は学校で日本語を教わらないので、 休日に補習校へ通って国語の勉強をする 必要があります。
帰国後、国語の勉強につまずく現地校育ちの帰国子女はかなり多い印象です。
日本人学校は日本で暮らすのとほぼ変わらない生活なので、帰国子女として受験に臨む場合は英語に苦労することが多いです。
日本国内の公立校よりはかなり充実した英語教育を受けられますが、それでも実際に英語を日常的に使って学校生活を送ってきた 現地校勢にはなかなか及ばない のでそこは努力が必要だといえます。
最終的には子どもの適性と将来のプランから判断すべし
現地校やインターナショナルスクールは、環境がガラッと変わって海外の文化に完全に溶け込まなければいけないので学ぶことも多いと思いますが、その分 子どもにかかる負荷は大きくなります 。
飛び込んでしまえば多くの子は慣れて適応していきますが、環境の変化に大きな不安がある子どもなら日本人学校に通わせるといった判断をするのも一つの手です。
また、海外移住から帰国までの期間にある程度見込みがあれば、そこを判断基準にしてもよいでしょう。
中学受験の場合、帰国子女枠は多くが「帰国後2年以内」「海外在留1年以上」が条件となっています。帰国から 受験までに2年以上空く・在住期間が1年未満になることが見込まれるなら帰国子女受験は利用できない ことが多いので、帰国後国内の学校にすんなり戻れる日本人学校を選ぶほうがよいでしょう。
逆に帰国子女枠での受験をしっかり狙うのであれば、現地校やインターナショナルスクールで長期間語学経験を積むのが一番の近道です。
正直、現地校に通っておけば…と思うこともあるけど
日本人学校ではみんなが優しく毎日楽しかった記憶ばかりで、帰国後しばらくずっと「日本人学校に戻りたい…」と言っていたほどいいところでした。
しかし、2年以上海外経験があるのにも関わらず中学に上がるころには習った英語やドイツ語は忘れてしまっていたので、英語を勉強しはじめてから「現地校に行っておけば…」と思ったことも一度や二度ではありません。
ただ、結論から申し上げると現地校育ちの帰国子女であるか否かは、 最終的な学歴や社会生活にそこまで影響はないのも確か です。
帰国子女の子どもが社会に出る年齢になったとき、海外で働く人が多いかというとそうでもありません。国内で育った子どもと同じように一般的な日本企業に就職して、英語をほぼ使わない環境にいる人も少なからずいる印象です。
どんな学校に通うにせよ、 海外での生活は子どもの価値観に大きな影響を与える出来事 です。
もし自分の子どもを海外に連れていくという親御さんがいましたら、海外での生活を楽しく過ごせるようあたたかく見守っていただければと思います。
やってみよっか?