『VELTRA ワインサークルでワインを学ぼう』第三回 スパークリングとシャンパンはどう違う?
全10回のシリーズでお届けする「ベルトラ ワインサークルでワインを学ぼう」の第三回目はスパークリングワインとシャンパンの違いについてです。
「ドンペリニョン」や「モエ・エ・シャンドン」などの高級シャンパン名を皆さんも一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。ではそのシャンパンと、スパークリングワインの違いはご存じですか。今回はその違いと、知っているとちょっと自慢できるスパークリングワインの国ごとの呼び方なども併せてご紹介していきます。
スパークリングとシャンパンの違いとは?
それぞれの定義
スパークリングワイン は 発泡性 をもった ワインの総称 で、一般的には3気圧以上の炭酸ガスを含んだワインとされています。
そして シャンパン はフランスの シャンパーニュ地方 で 厳しい条件をクリア したものだけが名乗れるワインなのです。
シャンパンと名乗るためには
- フランスの シャンパーニュ地方 で造られること
- ブドウ品種は シャルドネ 、 ピノ・ノワール 、 ピノ・ムニエ のいずれかを使用していること
- 瓶内二次発酵 で造られており、製造期間は15ヶ月以上かかっていること
などがあります。本当はもっと多くのルールがあるのですが、今回はこのあたりまでご理解いただれば十分かなと思います。
ちなみにかの有名な「 ドンペリ 」は シャンパン の製造方法の完成に生涯をささげた、フランス シャンパーニュ地方の修道士「 ドン・ピエール・ペリニヨン氏 」からきています。(写真はエペルネにある工場の前に立つペリニヨン氏の像)
シャンパンの醸造方法
さて、定義の部分で「 瓶内二次発酵 」とありましたが醸造方法を少し詳しく見ていきましょう。
実は⑥まではスティルワインと製法はほぼ同じです。大きく違ってくるのは⑦の瓶内二次発酵からです。
⑨の動瓶は、小さいメゾンなどは昔ながらの方法「手動」でされていますが、大きなところになるとジャイロパレットと呼ばれる機械で行っています。
動瓶の手動
動瓶の機械
残糖量の表示
醸造過程で補糖された 糖分 が どれだけ残っているか が、 辛口 や 甘口 などの味わいとなります。日本国内では下の写真のような「 ブリュット (Brut)」と呼ばれる辛口のスパークリングワインの流通が多いのですが、他にも残糖によって呼び方や味わいが異なるので下の一気にご紹介します!
国によって異なるスパークリングワインの呼称
フランスでは「ヴァン・ムスー(Vin Mousseux)」
各国の言葉の違いから、スパークリングワインの呼称も様々です。ここでは呼称と代表的な種類をお伝えします。
まずはフランス。フランスではスパークリングワインのことを「 ヴァン・ムスー (Vin Mousseux)」と呼びます。フランス語で ヴァン は ワイン 、そして ムスー は 泡 という意味です。種類はもちろんシャンパーニュ地方の「 シャンパン(Champagne) 」、そしてシャンパーニュ地方以外で、シャンパンと同じ製法で造られる「 クレマン(Cremant) 」などがあります。
ドイツでは「シャウムヴァイン(Schaumwein)」
ドイツでは「 シャウムヴァイン (Schaumwein)」と呼び、種類としてシャンパンと同じ製法で造られる「 ゼクト(Sekt) 」があります。ちなみに意外かもしれませんが、ドイツは スパークリングワイン の 消費量 が年間 四億本 以上と 世界最大 の市場です。その為国内で造られるスパークリングワインのクオリティは年々高まってきているのです。まだ試したことがない方はぜひ一度手に取ってみてください!
スペインでは「エスプーモ(Espumoso )」
スペインでは「 エスプーモ (Espumoso )」という呼名がありますが、それよりも「 カバ (Cava)」のほうがなじみがある方が多いかもしれません。 カバ は スペイン の 特定地域 でシャンパーニュと同じ製法を用いて生産されるスパークリングワインです。カバは 洞窟 という意味があり、瓶内二次発酵が地下の洞窟で行われることからこの名前がついたんですよ。
イタリアでは「スプマンテ(Spumante )」
イタリアでは「 スプマンテ (Spumante )」と呼び、その種類も豊富です。まずはイタリアのスプマンテの中でも最高級とされる、ロンバルディア州の「 フランチャコルタ (Franciacorta)。そして ベネチア があるヴェネト州で造られる「 プロセッコ (Prosecco)」。こちらはフランスのシャンパン、スペインのカバに続く 世界3大スパークリングワイン のひとつでもあります。最後はロマーニャ州生まれの赤いスパークリング「 ランブルスコ (Lambrusco)」。甘口から辛口まである弱発泡のスパークリングワインです。
スパークリングワインの製造方法
トラディショナル方式(仏:Methode traditionnelle)
スティルワインを瓶に入れ、糖分と酵母を加え密栓した状態を保ちます。すると瓶内で2回目の発酵が始まり、炭酸ガスが生み出されそれがスパークリングの泡となります。これを「瓶内二次発酵」といい、フランスのシャンパーニュ地方で確立したので「シャンパーニュ方式」と呼ぶこともあります。(*ただしシャンパーニュ方式の名称の使用はシャンパーニュ地方でのみ許可されています)スペインの「カバ」なども同じ方法で造られています。産地によって違いはありますが、瓶の中で澱と一緒に長期熟成させるので旨味の伴った味わいになるのが特徴です。
シャルマ方式(仏:Methode charmat)
密閉した大型タンク内で、二次発酵と澱抜きを行う方法です。一度に多量に造ることができるので、低コストでの生産が可能になります。またブドウのアロマが残りやすいので、香りが華やかなブドウをスパークリングワインにする時によく使われています。イタリアのスプマンテやドイツのゼクトなどが該当します。
トランスファー方式(仏:Methode de transfert)
瓶内二次発酵した発泡酒を、炭酸ガスが抜けないよう加圧化したタンクに入れ、冷却・澱抜きをしてから瓶に詰め変える方法で、トラディショナル方式を簡略化した方法ともいえます。トラディショナル方法のようなきめ細かい泡はできませんが、スッキリとして飲みやすいスパークリングワインを造るのに向いています。
リュラル方式(仏:Methode rurale)
発酵途中のワインを瓶詰めし、残りの発酵を瓶内で継続させることで生まれる炭酸ガスをそのままワインに閉じ込めてスパークリングワインにする方法です。
炭酸ガス注入方式(英:Carbonation)
加圧したタンクに出来上がったワインを入れ、そこに炭酸ガスを吹き込む方法です。簡単にそして短期間で造ることができるというメリットの一方、他の製法に比べ泡が大きく、気が抜けやすい事が多いという難点もあります。
第四回の予告
スパークリングワイン
にもいろいろな
味わい
や
造り方
、そして
呼び方
があるんですね!もし今後お食事に行かれるときは、フランス料理店では「シャンパン」、スペイン料理店では「カバ」、イタリア料理店では「プロセッコ」とぜひオーダーしてみてください!よりその国のおいしさに触れることができるかもしれませんよ。
次回はこれからの季節にピッタリの
ロゼと甘口ワイン
についてお伝えします!
VELTRAワインサークルでワインを学ぼう 全10回
- 第一回 ワインの歴史とブドウ栽培
- 第二回 赤ワインと白ワインの醸造方法
- 第三回 スパークリングとシャンパン(この記事)
- 第四回 ロゼと甘口ワイン(予定)
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