【中央アルプスの絶景】初心者でも楽しめる「千畳敷カール」|その魅力と人気のヒミツを徹底解剖
3,000m級の山々、それは天空の世界。昔は技術のあるアルピニストしか立てなかった場所が、今やロープウェイなどで気軽に行けるようになりました。そんな中でも特に人気なのは長野県・中央アルプスの千畳敷カール。
では一体何が魅力なのか、どんなところなのか、おすすめのコースプラン、服装、持ち物など、千畳敷カールのすべてを徹底解剖していきましょう!
千畳敷カールとは
千畳敷カールとは
千畳敷カール は、 長野県 の 中央アルプス・宝剣岳(ほうけんだけ) の東側に広がる 氷河が削った地形(=カール・圏谷) のことを言います。
カールって珍しいの?
山の斜面をスプーンですくったようなカール地形は 長い年月をかけて作られた自然の芸術 。日本ではとても珍しく、 北海道の日高山脈 、 本州の日本アルプス でしか見ることができません。千畳敷カールとともに、北アルプスの 涸沢カール 、立山の 山崎カール 、南アルプスの 藪沢カール が有名です。
千畳敷カールの大きさ
カール壁の最高点は標高2,931mの宝剣岳、そしてカール底の標高は約2,600m。上壁からは 300m以上の比高 があります。
千畳敷カールの歴史
千畳敷カールは今から 約2万年前 の 氷河時代に形成 されました。名の由来は 畳を1,000枚敷いた広さ があることからと言われています。千畳敷カールは 「中央アルプス国定公園」 に含まれ、カール周辺は 「特別保護地区」 に指定されています。
千畳敷カールが人気なワケ
カール地形は 山深い場所 にあります。多くが山を登らないと見ることができません。しかし、千畳敷カールへは 駒ケ岳ロープウェイでひとっ飛び! 全くの初心者でも、登山装備がなくても、お子様でも、 気軽に間近でカールの大迫力を味わう ことができます。
千畳敷カールの魅力
ダイナミックな景観
天を突くような 宝剣岳の岩峰 。 岩壁が眼前に迫るようなスケール感 。この ダイナミックな景観 こそが最大の魅力です。
【宝剣岳】
絶景
千畳敷カールを背に 南アルプスを一望 できます。南アルプスの奥には 富士山 の姿も。
【カール上部から望む南アルプス】
雲上ハイキング
千畳敷カールには 一周約45分の散策路 があります。多少の岩の段差はありますが、小さなお子様も歩けるようななだらかな道です(筆者は2歳の子どもと手を繋いで一緒に歩いたことがあります)。
【散策路脇の剣ヶ池から見上げる千畳敷カール】
高山植物の宝庫
千畳敷カールは 高山植物の宝庫 。6月〜8月は可憐なお花があちこちから顔をのぞかせます。その数およそ 150種類 以上。見ごろは 7月中旬〜8月中旬 です。
〈千畳敷カールで見られるお花〉※一部
6月〜
- コイワカガミ
- ハクサンイチゲ
- ミヤマキンバイ
- タカネザクラ
日本で最も遅く咲く タカネザクラ は剣ヶ池付近でよく見られ、 「アルプスのお花見」 として人気です。
7月〜
- ウサギギク
- クルマユリ
- コバイケイソウ
- シナノキンバイ
- チングルマ
- ハクサンフクロ
- ミヤマリンドウ
8・9月
- ウメバチソウ
- トウヤクリンドウ
- ミヤマアキノキリンソウ
【シナノキンバイの大群生 木曽駒ヶ岳】
四季折々の姿
春(4-6月)
春の千畳敷カールは 残雪 の世界。雪渓ではバックカントリースキー、カール周辺ではスノーシューを楽しむ人々の姿が見られます。春の呼び声が小さく聞こえる中、 青い空と白銀の峰々 を静かに楽しめる季節です。
夏(7-8月)
夏といえば 登山 。日帰り登山者、縦走登山者、初心者からベテランまで多くの山好きが集まります。 足元に揺れる高山植物 も可愛い季節。
秋(9-10月)
秋の千畳敷カールでは これぞ紅葉の真骨頂! というべき絶景が楽しめます。 燃えるように色づくカール と 猛々しい岩肌のコントラスト はまさに自然が作り出す芸術。 草紅葉 から始まり、山は ナナカマドの赤・ダケカンバの黄・ハイマツの緑 の鮮やかな色彩の共演、そして初冠雪の10月半ばには 雪・紅葉・山麓の緑 の 三段紅葉 が見られることも。見ごろは 例年9月下旬~10月上旬 です。
冬(11-3月)
深い雪に包まれる千畳敷カールの冬。 樹氷 、 ダイヤモンドダスト 、 シュカブラ(雪紋) が美しい季節。厳しい寒さの中でしか見られない景色がここにあります。
【美しいシュカブラ】
トレッキングコース
【日帰り】千畳敷カール一周コース〈初心者〉
千畳敷カールを楽しむ 王道コース 。途中にベンチがあるので休みながらゆっくり周りましょう。
- コース:千畳敷駅(ロープウェイ山頂駅)→剣ヶ池→乗越浄土分岐→駒ケ岳神社→千畳敷駅
- コースタイム:約45分
【日帰り】乗越浄土往復コース〈初級〉
千畳敷カール+ちょっと足を伸ばしたトレッキングコース です。宝剣岳や木曽駒ヶ岳に続く峠(乗っ越し)まで登り、往復します。乗越浄土までの登山道は 「八丁坂」 と呼ばれる急登です。
- コース:千畳敷駅→剣ヶ池→乗越浄土分岐→乗越浄土→乗越浄土分岐→駒ケ岳神社→千畳敷駅
- コースタイム:約1時間40分
- 標高差:約250m
【日帰り】木曽駒ヶ岳登山コース〈中級〉
「乗越浄土往復コース」からさらに先を行き、 木曽駒ヶ岳(標高2,956m) を目指す登山コースです。乗越浄土まで登ればあとは比較的なだらかな稜線歩きが楽しめます。
- コース:千畳敷駅→駒ケ岳神社→乗越浄土分岐→乗越浄土→中岳→木曽駒ヶ岳→剣ヶ池を通って千畳敷駅
- コースタイム:約4時間
- 標高差:約350m
【中岳から望む木曽駒ヶ岳】
【ホテルで1泊】千畳敷カールに泊まろう
千畳敷カールをゆっくり楽しみたい方は宿泊がおすすめ。 日本一高所に建つホテル で 贅沢なひととき はいかがですか。宿泊先は2023年千畳敷駅に開業した 通年営業 の 「ホテル千畳敷」 。友人同士、大人カップル、ご夫婦など静かに山の朝夕を味わいたい方、必見です。
〈1泊2日 滞在モデル〉
1日目
- 15:00 駒ケ岳ロープウェイで千畳敷へ・ホテルにチェックイン
- 16:00 テラス「SO・RA・TO・KI」から 夕刻の千畳敷カールと宝剣岳 の眺めを楽しむ
- 17:00 天然水を使用した大浴場でリラックス
- 18:00 天空のディナータイム
- 20:00 満天の 星空観賞 ・「Lounge~2612~」で 南アルプスや駒ヶ根市街の夜景 を眺める
2日目
- 6:00 南アルプスから上る 日の出 ・ 雲海 ・ モルゲンロート (日の出に照らされ山肌が赤く染まる現象)を楽しむ
【夜明け前の千畳敷カール】
- 7:00 オムレツのワンプレート・パンの盛り合わせのおしゃれな朝食
- 8:00〜 トレッキング( 千畳敷カール一周コース ・ 乗越浄土往復コース ・ 木曽駒ヶ岳登山コース )
- 12:00 「2612Café & Restaurant」で 地元食材を使ったランチ
- 13:00 お土産ショップで駒ヶ岳ロープウェイオリジナルグッズを選ぶ
- 13:30〜 楽しい思い出とともにロープウェイで下山
千畳敷カールの注意点
マイカー規制
ロープウェイ山麓駅「しらび平駅」は マイカー規制区間 にあるので自家用車で入ることができません。「菅の台バスセンター駐車場」で車を停め、路線バスで向かってください。
混雑
ハイシーズン(7・8月の高山植物の季節と9月下旬からの紅葉の季節) は、菅の台バスセンター駐車場からの路線バスとロープウェイが非常に混み合います。時間にゆとりを持って行動しましょう。
気温
標高2,600mの千畳敷カールは、山麓の駒ヶ根市街と比べて標高差が約2,000mあり、その 気温差はおよそー10℃ です。夏でも風を防ぐアウターは必須、千畳敷ホテルに宿泊する方は防寒具をご用意ください。
トレッキングの服装・装備
千畳敷カール一周コース
- Tシャツ・長袖シャツ・長ズボン
- アウター(風を防げるもの)
- 雨具上下
- トレッキングシューズ・登山靴
- ストック
- ザック
- 水・行動食
- ごみ袋
- サングラス
- 〈夏〉日除けの帽子・日焼け止め
- 〈11月〜3月〉メリノウールのインナー・フリースやダウンジャケット(防寒着)・手袋・ニット帽・ネックウォーマー・厚手の靴下・タイツ・スノーシューズ・スノーシュー
乗越浄土往復コース・木曽駒ヶ岳登山コース
上記のものから追加で
- ヘッドランプ
- エマージェンシーシート
- 登山地図
- 登山計画書の提出・または登山アプリ等にて申請
- 救急用品
- トイレットペーパー
- 〈11月〜6月〉アイゼン・ピッケル(雪山登山経験必要)
駒ヶ岳ロープウェイの運賃・時刻表
アクセス
〈しらび平駅(駒ケ岳ロープウェイ山麓駅)までのアクセス〉
- 公共交通機関:飯田線「駒ヶ根駅」から路線バスで約45分
- 車:中央道「駒ヶ根IC」下車〜「菅の台バスセンター駐車場」まで5分〜路線バスで約30分
さあ、千畳敷カールで絶景を楽しもう!
大迫力の絶景 と 多様な高山植物 、そして 雲上ハイキング を楽しめる千畳敷カール。
ぜひ 中央アルプスの大自然 を満喫してください。
やってみよっか?