一輪挿しはないけど一輪だけ生けたい!“花くばり”の基本レッスン
はじめまして。私は、フラワーデザイナーの杉山香林と申します。
草花を一輪ずつ販売しているお花屋さんではなく、御祝いのお花や、イベント、パーティーの装飾、撮影のフラワースタイリングなど、オーダーに応じて植物によるデザインを考え、制作する仕事をフリーランスでしています。
このサイトでは、花を日常やスペシャルなシーンで楽しめるようなHOW TOに加えて、草花と人の交わりに関する小話などをご紹介していく予定です。
さて、第1回のテーマは「花くばり」です。
「くばり」とは?
「くばり」とは、花を生ける時に留めたり立てたりする技法やその材料を指します。 吸水フォームの代わりに葉や枝、蔓などを使って留めれば環境に優しいですし、多様な留め方ができれば、花に合う花瓶がなくても生けることができます。
今回は、一輪挿しがなくても一輪の花を生ける簡単な方法をお伝えします!
どこの家にもあるグラスに一輪生ける
リモートワークが増え、これまでよりも部屋に花を飾ってみようという方がたくさんいらっしゃるようです。でも、家に花を生けたいと思っても、一輪だけの場合、口が狭い器でないとうまく立ってくれませんね。
たとえば、器が水飲みグラスしかない場合。普通に立てれば写真のように少しうつむいて疲れた感じになってしまいます。
こういう時に、 “くばり”のアイデアを使って生ければ綺麗に飾ることができます。 今回は、蔓をくばりにして、このデルフィニウムという花を留めてみましょう。
蔓を使ってグラスに生ける
材料を用意する
小花 一輪 (ここではデルフィニウムを使っています。あまり重みのない小花がよいでしょう)
蔓性の植物 一本 (ここではアイビーを使います)
円柱型グラス
(側面が丸みを帯びておらず直線のもの)
早速やってみよう
1. 蔓を器の口径より少し小さいくらいの直径でくるくると巻きます。蔓が短くて1、2周しかできない場合は留める力が弱くなるので、2本用意した方がよいでしょう。
この時、蔓の一番端の部分は水を吸う口として出しておきます。
2. 水を3分の1程入れたグラスの中に巻いた蔓を入れます。入れた時、巻かれた状態を解けようとする外側へのテンションが生まれるので、蔓はグラスに密着します。
葉は外に出しておいた方が水を清潔に保てますし、造形的にも美しく仕上がります。葉が多すぎる場合は適宜間引きましょう。
蔓の端はしっかり水に浸かるようにします。
3. 花をグラスと蔓の間に差し込みます。蔓の間隔を指で開いて、3点以上で花の茎を抑えることがポイントです。
完成!このように、口の広いグラスでも、しっかりと直立してくれました。
口が広い花瓶に生けたい
花瓶は持っているけれど、一輪だけ生けるには口が広すぎてうまく生けられない時もあるかもしれません。
茎を思い切り短くすればバランスよく立てることもできますが、長いまま生けたい場合はこんな風に倒れてしまいますね。
そんな時も、茎を“くばり”にして立てることができます。
茎を使ってグラスに生ける
材料を用意する
花 一輪 (茎が太めでしっかりと硬さのあるものが適しています。お花屋さんで買う時は、茎を切らずに長いままにしてほしい旨を伝えて購入しましょう。ここではネリネを使っています。)
花瓶 (丸みのある形よりも、円柱型など、口の辺りの側面が曲がっていないものが適しています)
早速やってみよう
1. 今回は、生ける一輪の茎を使ってくばりにします。花瓶の口の内側の直径に合わせて茎を切ります。この時、両方の切り口をやや斜めに切り、長い方は数ミリ直径より長くなるようにします。
2. 花瓶の口の真ん中に茎を押し込みます。この時、斜めに切った切り口の長い方を上にして入れ、少し潰し気味みに押し込むことで固定されます。
同じ要領で茎を切り、もう一本を十文字に入れます。
3. 花の長さを適宜調整して切り、十文字の真ん中に立てかけるように入れます。
完成!一輪でもしっかり直立してくれました。
ちょっとした工夫で、ひと味違った一輪挿しを
一輪を気軽に飾ることができれば、お手洗いや洗面所など家のあちこちにお花を置くこともできますし、お花屋さんに行くのが楽しくなるかもしれませんね。
くばりは蔓や茎だけでなく、葉や枝、実などでもできますので、ぜひ工夫して自分なりの“くばり”のやり方を開発してお楽しみください!
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