【東京】春の花めぐり散歩② 桜の名所 池上本門寺と洗足池公園<桜見頃:3月下旬~4月上旬> image

【東京】春の花めぐり散歩② 桜の名所 池上本門寺と洗足池公園<桜見頃:3月下旬~4月上旬>

3月に入ると桜の開花予想を伝える情報番組が増え、今年はどこにお花見に行こうかな?と心が浮き立ちますよね。

今回ご提案するのは、桜×歴史×アート。江戸時代から桜の名所として名高い「池上本門寺」と「洗足池公園」です。

日蓮聖人ゆかりの地であり、江戸城無血開城のきっかけとなった場所でもあり、さらに歌川広重の浮世絵に描かれた「映えスポット」でもあります。どちらも東急池上線の沿線にあるので、一日ではしごすることもできますよ!

池上本門寺

正式名称は「長栄山 池上本門寺 (ちょうえいざん いけがみほんもんじ)」日蓮宗の大本山です。

基本情報

  • 拝観料:無料
  • 住所:東京都大田区池上1-1-1
  • 駐車場:あり
  • アクセス:【電車】東急池上線「池上駅」徒歩10分/都営浅草線「西馬込駅」徒歩12分          【バス】東急バス「本門寺前」徒歩5分

桜の開花時期など

  • 見頃:3月下旬~4月上旬
  • 桜の種類:ソメイヨシノ、笹部桜、河津桜(約100本)
  • 注意事項:境内での飲食NG。敷地内に、売店・休憩所・レストランがあります。

【春まつり】4月1日(土)2日(日)に開催

2日には、お釈迦様の誕生を祝う「 花まつり 」も行われます。(パレード・コンサート・灌仏法要・無料甘茶接待)

※お釈迦様が誕生したのが4月8日。インドのルンビニー園でお生まれになられたお釈迦様に天より甘露の雨が降り注いだと言われています。池上本門寺では、4月8日の当日には誕生仏に甘茶をそそぐ行事があります。

おすすめスポット

1. 総門と此経難持坂(しきょうなんじざか)

駅から歩いてくるとまず目に入るのが、この 総門 です。此経難持坂は 桃山時代に造られた石積参道で両側に季節の花が咲き 、参詣者をあたたかく迎え入れてくれます。熱心な法華信者で築城家としても有名な、加藤清正公の築造で96段あります。

※石段を登るのが大変な場合は、池上会館のエレベーターを利用するとお寺の境内へ出られます。

2. 国の重要文化財に指定されている五重塔と桜並木

江戸幕府2代将軍徳川秀忠公の武運長久・病気平癒を祈願して建てられました。慶長13年(1608)4月に落慶供養が行われ、関東に現存する最古の五重塔となっています。春まつりの期間は「 五重塔特別祈願 」として開扉されます。

写真を撮ったのは2月なのですが、手前の桜が満開になると桜のトンネルごしに五重塔が見られます。

洗足池公園

北千束の清水窪湧水などを主な水源とする洗足池を中心に整備された公園です。 池の広さは都内屈指の約4万㎢もあります。

基本情報

  • 住所:東京都大田区南千束2丁目14-5
  • 駐車場:なし
  • アクセス:【電車】東急池上線「洗足池駅」徒歩1分【バス】東急バス「洗足池」徒歩1分

桜の開花時期など

  • 見頃:3月下旬~4月上旬
  • 桜の種類:ソメイヨシノ、山桜、しだれ桜(約200本)
  • 注意事項:場所取り行為はNG。休憩所が二か所あります。土日は屋台が出ていることも。
  • 貸しボートがあります。

おすすめスポット

1. 桜山

駅から池を挟んでちょうど反対側に位置するのが桜山です。文字通り、 あたり一面桜の世界 にひたれます。

2. 池月橋

千束八幡神社のそばから見た池月橋です。撮影したのは3月上旬でまだ開花していませんが、 池に張り出している桜の枝越しに写真 を撮ることができます。

3. 弁財天

こちらは休憩所と池月像のあたりから撮った弁財天。スワンボートが通ると、「 桜のピンク・弁財天の赤・ボートの白 」と色の映える写真になりますね。

歴史さんぽ

池月本門寺と洗足池は、共通する歴史がいくつもあります。お花見をしながら、史跡をめぐるお散歩はいかがでしょうか?

日蓮聖人ゆかりの地

洗足池があるのは、住所でいうと大田区南千束です。同じ地名なのに、なぜ漢字が違うかというと… 古くからの地名が「千束」で、日蓮聖人が旅の途中で足を洗ったことから「洗足」という文字があてられるようになりました。

そして、 池上本門寺はというと、日蓮聖人ご入滅の地 です。つまり、お亡くなりになった場所にお寺が建てられたということ。現在でも、境内の最奥に御廟所があります。

荼毘にふされた所には、多宝塔が建立されています。

西郷隆盛と勝海舟

池上本門寺は、幕末に新政府軍を率いた西郷隆盛が本陣を構えた場所。慶応4年(1868)4月に 西郷隆盛と勝海舟が、境内の北側に位置する松涛園のあずまやで江戸城明け渡しに関する会見をしたと伝えられ、園内には両雄会見の碑が残っています。

そして、この時に通りかかった洗足池の自然に魅せられたのが勝海舟。明治24年には、池のすぐそばに「洗足軒」と名付けた別邸を建てます。(建物は戦後、焼失)

この地が本当に気に入っていたようで、晩年はこの別邸で晴耕雨読の生活を送り、裏手にお墓もつくりました。

勝海舟夫妻の墓。当初は海舟ひとりの墓でしたが、のちに妻のたみが合祀されました。

こちらは、すぐ近くにある「西郷隆盛の留魂碑」。 城山で敗死した西郷隆盛の一周忌に、勝海舟が私費を投じて建てたのものです。 表には、西郷隆盛が詠んだ漢詩一首が刻まれ、裏には、勝海舟の自筆で碑建立の動機が記されています。

江戸の町を戦火から守り平和的解決をした2人の、歴史には残らない絆が形になっているような気がして、なんとも胸があつくなりました。

洗足池の隣にある「洗足池図書館」の壁には、周辺の歴史スポットがまとめられています。源頼朝の名馬・池月や千束八幡神社など、他にも見どころがあるので、街歩きの参考にどうぞ。

アートさんぽ

歌川広重が描く洗足池

洗足池は江戸時代の人気絵師、歌川広重が名所江戸百景に描いたことでも知られています。タイトルは『 千束の池袈裟懸松 』(せんぞくのいけ けさがけまつ)。日蓮聖人が袈裟を掛けたと伝わる松を中央に配し、自然が豊かに残る江戸の郊外を描いています。

現在の「袈裟懸けの松」は代替わりしていて同じものではないのですが、池畔に建つ御松庵妙福寺の中に今もあります。

現代の写真家が、この名所江戸百景と同じ構図で写真を撮るという試みをしており、昔と今の比較がとても面白いので、興味のある方はこちらもご覧ください。

絵の構図を探しながら、お散歩するというのも風流ではないでしょうか?

ちなみに、広重は第80景『金杉橋芝浦』で池上本門寺の「お会式法要」に向かう参詣客の絵も描いています。

川瀬巴水が描く五重塔と洗足池

もう一人、大正から昭和にかけて活躍した版画絵師・川瀬巴水も紹介したいと思います。江戸から明治になって衰退してしまった浮世絵版画の復興を目指して精力的に画業に取り組んだ絵師で、日本的な美しい風景画を得意とし「 旅情詩人 」「 昭和の広重 」と呼ばれています。

巴水は、昭和2年に大田区内に住み始め、戦時下をのぞき、晩年までずっと馬込や上池上で暮らしていました。そのため、池上本門寺や洗足池の絵を数多く残しています。

『洗足池乃残雪』

『池上本門寺の塔』

川瀬巴水については、大田区立郷土博物館の学芸員によるコラム(全15回)がありますので、より詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

お花見しながら歴史やアートに触れる

桜のお花見というと、大勢でワイワイ楽しむというのも楽しいですが、ふらりと出かけて、ゆっくり花をめでるというソロ活もいいですよね。そんな時は、テーマがあるとより豊かな時間が過ごせるのではないでしょうか?

池上本門寺と洗足池は都心からもアクセスがしやすく、思い立ったらすぐ行ける場所なので、歴史やアートに触れながら、のんびりと春の休日を過ごしてみてください。

出典・参考

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