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プランバナン寺院群へ行こう!観光客に人気のインドネシアの世界遺産

「BHINNEKA TUNGGAL IKA(多様性の中の統一)」。多様性があってこそ国が繁栄すると考えられているインドネシアには、人類史に残る貴重な史跡が点在しています。人口の90%近くがイスラム教を信仰していますが、そこは18,000もの島々からなる世界有数の島嶼(とうしょ)国家。憲法で宗教の自由が保障されているため、キリスト教やヒンドゥー教、仏教などを信仰する国民がお互いの宗教を尊重しながら生活しています。異なる宗教様式が融合した寺院があるのも特徴です。

この記事では、天を衝くような寺院群の写真で知られる「プランバナン寺院群」について詳しく紹介します。

プランバナン寺院群の基本情報

まずは「プランバナン寺院群」の基本情報から確認していきましょう。プランバナン寺院群は王宮文化の美しさを色濃く継承するジャワ島中部に位置します。

インドネシアの世界遺産

ジョグジャカルタにあるプランバナン寺院群は、史跡公園内にある4つの寺院遺跡を中心とした遺跡群の総称です。この遺跡群が人類の歴史上非常に重要な建築様式であること、また人類の創造性を表現している作品であることから1991年にユネスコ世界遺産に登録されました。現在では年間200万人以上の観光客が世界中から訪れています。

場所・行き方

プランバナン寺院群はジャワ島中部のジョグジャカルタ市街地から15kmほど離れた北側に位置しています。首都ジャカルタやバリ島からは飛行機で1時間ほど。街の玄関口であるジョグジャカルタ空港からはバスで約10分です。現地まではタクシーの使用が一般的ですが、空港や市内中心部からは市バスも運行しています。

営業時間

プランバナン寺院群の見学時間は6:00~18:00(最終入場は17:00まで)の年中無休です。メインのプランバナン寺院を見るだけであれば所要時間は1時間程度ですが、遺跡群は非常に広大なためすべて見るにはそれなりの時間がかかります。

歴史

プランバナン寺院群は9世紀頃に古マラタム王国(サンジャヤ王朝)によって建てられたヒンドゥー教の寺院群です。8世紀から10世紀にかけてサンジャヤ王朝のすぐ北側に仏教王国のシャイレーンドラ王朝が存在しており、2つの王朝が婚姻関係にあったためそれを記念して建てられたともいわれています。一帯にはヒンドゥー教の寺院だけでなく仏教寺院も多くみられ、2つの宗教が友好的に交流していたことを示しています。メラピ山の噴火や疫病流行、遷都や地震により一旦は崩壊しますが、18世紀に入ってイギリス人のラッフルズによって発見され、度重なる修復作業を経て、今では往時の姿を取り戻しつつあります。

しかし、2006年のジャワ島中部地震によってプランバナン寺院群は再び甚大な被害を受けました。現在も修復中の箇所が多いのはそのためです。

宗教

メインとなる「ロロ・ジョングラン寺院」ではヒンドゥー教の3大神を祀っていますが、周囲にはヒンドゥー教寺院以外に、仏教寺院や2つが融合した寺院が多く見られるのも特徴です。往時には240ものヒンドゥー教寺院、仏教寺院が存在したといわれています。

寺院群を構成する主な寺院の特徴

プランバナン寺院群は主に以下の4つの寺院から構成されています。詳しく見ていきましょう。

プランバナン寺院(ロロ・ジョングラン寺院)

4つの寺院のうち最大級の規模を誇るのがヒンドゥー教寺院「プランバナン寺院(ロロ・ジョングラン寺院)」です。ヒンドゥー教の三大主神「シヴァ神」「ヴィシュヌ神」「ブラフマー神」をそれぞれ大祠堂(だいしどう)に祀っています。

各大祠堂の前には、その神が乗る使いを祀った小祠堂が建っています。シヴァ神は「ナンディ(牡牛)」、ヴィシュヌ神は「ガルーダ(神鳥)」、ブラフマー神は「ハンサ(白鳥)」です。南国インドネシアの高い空に向かって立つ尖塔群はまさに圧巻。その中心に建つのはシヴァ神を祀る高さ約47mもの聖堂です。シヴァ神を祀る部屋のほかに3部屋を有し、南にシヴァの師ともいわれるインドの聖者「アガスティア」を、西にシヴァの息子で象の頭を持つ「ガネーシャ」を、北にシヴァの妻「ドゥルガ」の像をそれぞれ祀っています。

プランバナン寺院の別名は「ロロ・ジョングラン寺院」。これはマタラム王国の姫、ロロ・ジョングランの名前に由来するといわれています。

シヴァ堂の回廊には周囲を埋め尽くすように古代インドの叙事詩「ラーマーヤナ」のレリーフが施されています。石に彫刻したとは思えないほど柔らかな表情を浮かべており、現存するヒンドゥー教遺跡の中でも屈指の作と言われる彫刻です。

ヒンドゥー教神話のひとつでもある「ラーマーヤナ」。三大主神の一人であるヴィシュヌ神が、コーサラ国の王子ラーマとなって魔王を退治する物語です。毎年5月から10月にかけてはプランバナン寺院の屋外ステージで、それ以外の季節は屋内で、伝統芸能「ラーマーヤナ舞踊劇」が行われます。あらかじめ伝統芸能を鑑賞したうえで遺跡を見学すると、より一層遺跡巡りが楽しめますね。

セウ寺院(チャンディ・セウ)

プランバナン寺院から1kmほど離れた位置にあるのが仏教寺院の「セウ寺院(チャンディ・セウ)」です。真上から見たときに東南アジアでは非常に珍しい正十字の形をしているのが特徴です。

セウとはジャワ語で「1,000の寺院」を意味する言葉。かつては本堂を中心に240以上もの小仏堂が建っていましたが、度重なる自然災害によりそのほとんどが崩壊してしまいました。日々修復が進む様子を「クベラ」と呼ばれる二体の神像が見守っています。

ルンブン寺院

遺跡公園内の北に位置するのが「ルンブン寺院」です。プランバナン寺院に比べると非常に規模の小さい寺院の内部に、仏像が安置されていたくぼみが残っています。またプランナバン寺院から離れているので観光客も少ないですよ。

ブブラ寺院

ルンブン寺院のさらに北にある「ブブラ寺院」も観光客の姿が非常に少ない寺院です。こちらも現在修復が進められているため、その移り変わりを見るのも楽しいでしょう。夕暮れを背景に映し出される姿が非常に美しいことでも知られています。

ボロブドゥール寺院遺跡群との距離

プランバナン寺院群と並んで「ジャワ建築の最高傑作」と称されるのが、世界最大の仏教遺跡「ボロブドゥール寺院遺跡群」です。

プランバナン寺院群とボロブドゥール寺院遺跡群の距離は30kmほどです。一日のうちに両方巡れる位置にあるため、両方の遺跡群を見て回るのが定番コースとなっています。

ボロブドゥール寺院遺跡群が建設されたのは、プランバナン寺院遺跡群とほぼ同時期の8世紀後半から9世紀前半にかけて。こちらもメラピ山の大噴火により1,000年もの間火山灰の下に埋もれていました。ジャングルの中にそびええ立つ雄々しい姿は圧巻の迫力。壁面を飾る美しいレリーフや多くの仏像を有する内部は、まさに「聖域」と呼ぶにふさわしい静謐で神秘的な空間です。

プランバナン遺跡が天に向かってのびる炎のような形をしているのに対して、ボロブドゥール遺跡はピラミッドのような形をしているのが特徴。

遠くからボロブドゥール寺院遺跡群を見るとひとつのピラミッドのように見えますが、実際は上部の円壇と下部の方形壇、頂上に建つ釣鐘状の塔から構成されています。特徴的なこの形は大乗仏教の宇宙感を表したものです。

ボロブドゥール寺院遺跡群は、ミャンマーのバガン遺跡、カンボジアのアンコール遺跡群と並んで「世界三大仏教遺跡」のひとつに数えられています。

日本語ガイド付きツアーがおすすめ!歴史を知ることで史跡巡りは何倍も楽しくなる!

歴史を知ったうえで史跡を回るのと、知らずにただ見て回るのとでは充実度が雲泥の差。せっかく訪れるなら由来や成り立ちについて少しでも知っておくといいですね。プランバナン寺院から南へ1kmほど行った先にある「ボコの丘」からは、広大なプランバナン寺院遺跡群を見下ろすことができますので、時間に余裕があれば合わせて回ってみるのもいいでしょう。ベルトラでは2つの遺跡を巡る充実のツアーも用意しています。日本語ガイド付きなので、ぜひチェックしてみてくださいね。

※交通機関や施設の料金、時間等は予告なく変更になる場合があります。最新情報は公式サイトも合わせてご確認ください。

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