photograph: 日本玄承社

京都の最北端、日本海に突き出た丹後半島に位置する京丹後市。周辺には日本三景・天橋立や伊根の舟屋などの名所が点在し、「海の京都」「もうひとつの京都」として注目を集めているエリアです。

京丹後市はまた、 刀剣にまつわる歴史や伝承が多く残されている場所でもあります。市内の古墳から刀剣が出土していたり、丹後地方が当時の製鉄の要であったことを示す重要な遺跡などもあり、日本刀と縁が深い地域としても知られています。

若手刀鍛冶 黒本知輝
鍛冶場

日本刀の未来を切り開く、若き刀匠に学ぶ

日本刀鑑賞&鍛冶場見学

世界的に高く評価される天才刀鍛冶・吉原義人、義一の元で修行した3人の若手刀鍛冶が意気投合し京丹後に集結。古き伝統を守りながらも新しきを取り入れる温故知新の精神で、京丹後の工房を拠点に、「今を写した日本刀の製作」を志しています。

薄暗がりの中に熱気が立ちこめる神聖な鍛冶場。ピンと張り詰めた空気が流れ、思わず背筋が伸びる空間です。炉で燃え盛る真っ赤な炎、炭の匂い、鋼が沸く音。熱を帯び赤く光る鋼の塊に小さな命が吹き込まれ、「キーン、キーン」「カン、カン」と鉄を打つ音が響きわたります。

五感をゆさぶる奥深き作刀の世界。刀匠の美しい所作にモノづくりの真髄や手仕事の尊さを感じます。日本刀の未来を信じて立ち上がった、若き挑戦者たちに学ぶことはたくさん。今日も鍛冶場には心地よい鍛錬の音色が刻まれます。

鍛冶場見学

ものが生み出される瞬間に立ち会う。一生のうち一度でもこの現場に巡り合わせたら、それは真に稀有な体験となるでしょう。刀との繋がりの深い京丹後で繰り広げられる、禅の精神に通ずる刀匠たちの無駄のない所作。道具が整然と並べられた鍛冶場、激しく燃え盛る炎とリズミカルな鍛錬の音色。この感動を伝えることが使命であると感じました。心の洗濯に訪れてみてください。

日本玄承社 刀匠 黒本知輝

日本玄承社 刀匠 黒本知輝

幼少のころから刀に憧れ、自然と刀鍛冶を志すようになり、吉原義人(よしんど)氏のもと修業を積んだ3人の若手で京丹後の地に鍛冶場を立ち上げました。「今を写した日本刀の製作」を志し、日本刀がかつて人々の精神的なお守り、またステータスシンボルとしての地位を取り戻せるように、刀鍛冶の魅力を発信していきたいです。