瀬戸内海に面する風光明媚な東広島市安芸津町。「安芸の良い津(港)」との由来があり、古くは奈良時代から海上交通の要衝として栄え、万葉集にも登場する、歴史ある土地です。
安芸津はまた、広島杜氏のふるさととして知られています。酒造家である三浦仙三郎が、従来の酒造りには不利だった広島の水質を逆手にとって開発した「軟水醸造法」により吟醸酒が生まれ、全国的に広まることとなりました。
温暖な気候に恵まれたこの土地では、牡蛎やしろうおなどの海の幸、赤土のじゃがいもやびわ、みかんなどの山の幸を堪能することもできます。
心で向き合い心で味わう想いを紡ぐ酒造り
柄酒造見学ツアー&試飲体験
安芸津にはかつて20を超える酒蔵がありましたが、日本酒の消費量の減少と共に数が減り、今ではたった2軒のみが日本酒造りを続けています。そのうちの1つが「於多福」「関西一」などの銘柄で知られる柄酒造。柄酒造もまた時代の流れ、そして2018年の西日本大豪雨の被害を受け、一時期は廃業を覚悟していました。しかしそこで立ち上がったのが柄酒造を心から大切に思っていた地域の方々。たくさんの人の協力で酒蔵を再建することができました。これを受け、上京し一般企業に勤めていた8代目の長男、総一郎さんも家業を継ぐために戻ってきました。
今は総一郎さんが9代目として、先代と一緒に地域の方に愛される日本酒を作り続け、また若い世代にも日本酒を楽しんでもらえるように活動をしています。柄酒造が目指すのは、土地の恵みに感謝し、広島の原料と自然の力にこだわった酒造り。日々の生活に一杯の幸せを。そんな思いを込めて、ゆっくりと、丁寧に、酒を醸し続けています。
柄酒造 9代目蔵元・杜氏 柄総一郎
元々東京で勤務していましたが、西日本豪雨被災後、多くの方々からの支援をきっかけに家業を継ぐ決意をして帰郷。柄酒造9代目となりました。地元の人に愛される酒造りを続けながら、若い世代の人たちが日本酒に触れる機会を増やせるよう、料理の垣根を越えた、日本酒の楽しみ方を提案しています。