東京都八王子市にある標高599mの高尾山は、高尾山薬王院の寺域で、奈良時代から真言密教の聖地であり修験道の霊山とされた山です。都心から近く古代からの自然が残ることから、年間を通して多くの観光客や登山者が訪れています。高尾山の山頂から眺める富士山や奥多摩の山々、また都心に目を向ければ、新宿の高層ビル群を遠望することができます。高尾山へはケーブルカーで登り、徒歩40分ぐらいで山頂に到着します。北斜面にイヌブナなどの落葉広葉樹、南斜面にカシ類が中心の常緑広葉樹が見られ、高尾山には多くの種類の植物や野鳥などを観察することができ、登山や散策に人気があります。
歴史
高尾山は古来、天狗が棲むという修験道の道場として知られてきました。天平16年(744年)に聖武天皇の勅願によって、行基は東国鎮護のため薬師如来を安置して高尾山薬王院を創建しました。永和年間(1375年~1379年)には、京都の醍醐寺から入った俊源大徳が「飯縄権現」を守護神としたため、高尾山は飯縄信仰の霊山として修験道の道場となりました。高尾山薬王院は東海自然歩道(1,697km)の起点でもあり、明治以降、高尾山薬王院の参拝客にふるまわれた「とろろそば」は高尾山の名物となり、現在もふもとから山頂にまで「とろろそば」の店が点在しています。
見どころ
【高尾山】高尾山は関東山地の東に位置する「明治の森高尾国定公園」に指定され、古代からの自然が保護されていて、都会に住む人たちの貴重な憩いの場所として親しまれています。高尾山は四季折々の自然を体験することができ登山客に人気があり、高尾ビジターセンターでは高尾の自然について学ぶこともできます。夏季限定で標高500mからの夜景を楽しむ「高尾山ビアマウント」はおすすめです。【高尾山薬王院】高尾山薬王院は高尾山の中腹にある真言宗智山派寺院で、天平16年(744年)に創建されたと伝わっています。数々の文化財を所蔵していて見どころも多く、また薬王院と参道の杉並木は見事で、八王子八十八景に選ばれています。