摩天崖
島根県の北方、日本海にぽつんと浮かぶ隠岐諸島。
古の時代から続く悠久の歴史や豊潤な海と自然を誇る隠岐の島々は、
この地を訪れる人々に地球規模で語りかけてくる。
まだ見たことのない絶景を、海から、空から、大地から。
さぁ、しばし日常を離れ、むきだしの大自然に飛び込む島旅へ。
濃密な4日間が幕を開ける。
太古の火山活動により形成された隠岐は、大小180余りの島々からなる群島。人が住む島は4島で、最も大きな島を島後(隠岐の島町/おきのしまちょう)、西ノ島(西ノ島町/にしのしまちょう)、中ノ島(海士町/あまちょう)、知夫里島(知夫村/ちぶむら)の3島を島前と呼びます。2013年には、地球の不思議と出会い、人と自然をつなぐ島として、ユネスコ世界ジオパークに認定されました。 島後には隠岐世界ジオパーク空港があり、伊丹空港と出雲縁結び空港から直行便が運航。各島や島間の交通手段には、フェリーや遊覧船をはじめ、観光バス、レンタカー、タクシーなどがあります。
※本文中でご紹介する観光地、体験について天候、感染症などの影響で訪問不可、催行不可・変更の場合があります。お出かけの際は、必ず最新情報をご確認ください。
羽田空港 →(JAL:約1時間)→ 大阪(伊丹)空港 →(JAL:約50分)→ 隠岐世界ジオパーク空港〈島後〉
羽田空港 →(JAL:約1時間半)→ 出雲縁結び空港 →(JAL:約30分)→ 隠岐世界ジオパーク空港〈島後〉
羽田空港 →(ANA:約1時間半)→ 米子鬼太郎空港 →(連絡バスまたはJR境線:約10分)→ 境港または七類港 →(高速船:約1時間/フェリー:約2時間半)→ 隠岐各港
大阪(伊丹)空港 →(JAL:約50分)→ 隠岐世界ジオパーク空港〈島後〉
新大阪→(新幹線:45分)→ 岡山 →(特急:約2時間半)→ 米子駅 → (接続バス:約40分・ JR境線:約40分)→ 境港あるいは七類港 →(高速船:約1時間10分/フェリー:約2時間半)→ 隠岐各港
隠岐世界ジオパーク空港のある島後(隠岐の島町)には、樹齢数百年〜数千年の時を重ね今も生き続ける杉の巨木がいくつも存在する。そのなかでも島後の三大杉と呼ばれる「八百杉(やおすぎ)」「かぶら杉」「岩倉の乳房杉(いわくらのちちすぎ)」は、ぜひとも訪れてその不思議な魅力を体感してほしい場所。
「玉若酢命神社(たまわかすみことじんじゃ)」にある御神木で樹齢1000~2000年とも言われる八百杉。三大杉の中で唯一、幹に触れ肌で感じることができるかぶら杉は、樹齢600年の島根県指定天然記念物。そして、樹齢800年の岩倉の乳房杉*は、うっそうとした森の中に、まるで女神のように聳えている。 (*2022年3月現在、土砂崩れによる影響で立ち寄り不可)
岩倉の乳房杉
この地で悠々と時を刻んできた巨木の前にたたずみ、いにしえの物語に思いを馳せるひととき。静かに溢れ出す大自然の息吹が、訪れる人々をやさしくつつみ込み、心の奥深くに語りかけてくる。
隠岐の島町の中心地から少し車を走らせ、島後の最北端・白島展望台(しらしまてんぼうだい)へ。島後随一の大パノラマを見渡す絶景スポットで、真北へと突出した白島崎やどこまでも続く水平線、松島・白島といった小さな島々が展望できる。
白島海岸
眼下に広がる「白島海岸(しらしまかいがん)」は、国指定の名勝及び天然記念物。国内では珍しい白色のアルカリ流紋岩が特徴で、隠岐ユネスコ世界ジオパークならではの、大地の物語を感じられる場所でもある。長い年月による風化や海食によって創り出された特異な風景美も見どころの一つ。
白島展望台を後にし、次に向かうは島後の北西、代海岸(しろかいがん)の沖合に浮かぶローソク島。約500万年前に噴出してできた火山岩で形成されており、隠岐諸島を構成する無人島の1つだ。日没に合わせて遊覧船に乗り込み、”奇跡の絶景”を求めて海へ出発。
ローソク島遊覧船
心地よい潮風に吹かれながら奇岩群をめぐり、船はいよいよ「ローソク島」のそばへ。沈みゆく夕陽がちょうど島の先端に重なる時、海の上の巨大なローソクに幻想的な火が灯る。あたりの空や海も夕映えに染まり、贅沢なサンセットのひとときに。
心にも温かな光を灯す特別な船旅。舵を切るのは地元の海を知り尽くしたベテラン船長さん。ベストショットを撮るためのアドバイスもしてくれるのでカメラの準備をお忘れなく。
運行期間
3月15日~11月30日
※必ず事前予約が必要になります。
遊覧時間
約50分
出航時間
日没に合わせて出航
乗船料金
大人(中学生以上):3,000円
小人( 小学生 ):1,500円
幼児(小学生未満):無料
隠岐の島旅2日目は、フェリーで西ノ島町へ渡り、ダイナミックな風景の中へ。ナイフで垂直に切り取ったような大絶壁「摩天崖」を訪れ、空に手が届きそうな大草原をガイドと一緒に歩を進める。
天空ウォーキング
約2.3kmのウォーキングコースは、海抜257mの摩天崖頂上からスタート。ゴール地点の「国賀浜」を目指して、ゆっくりと草地を下っていく。コースのほとんどが下り坂のため、体力に自信がなくても難なくこなすことができる。牛馬がのんびりと草を食む光景や吸い込まれそうな蒼い海に導かれ、身も心もほぐれていくようだ。
天空ウォーキング
ガイドツアー終盤、アーチ状の奇岩「通天橋(つうてんきょう)」を一望する絶景ポイントに到着。幾重にも重なる地層をくっきりと見ることができ、地球の神秘を再確認。通天橋を通り過ぎたら、ゴールの国賀浜はもうすぐそこに。
午前中に天空から楽しんだ絶景を、今度は海側から訪れる。東西約7kmわたり「断崖・絶壁・洞窟」が続く「国賀海岸」は、まるで大地のテーマパーク。息を呑むほどの壮大なスケールでありのままの大自然が迫ってくる。
国賀めぐり観光遊覧船
観光船では、乙姫御殿、観音岩(かんのんいわ)などの名所が次々と展開され、自然が作り出す驚異の芸術に心奪われる瞬間ばかり。船頭さんの名案内の元、風光明媚な景観が続く。天候と海況に恵まれれば、海蝕洞窟を通り抜けることも。
通天橋
明暗の岩屋(あけくれのいわや)付近で折り返し、地峡を開いて造られた船引運河を経て、船は浦郷港へと戻る。大正時代に画期的な技術で開削された船引運河は、今でも隠岐の人々の生活を支えている。
別府港から菱浦港へ移動し「日本で最も美しい村」の一つ、海士町へ。1島1町人口2300人の小さな島で、都会のような便利さはない。しかし、日本の名水百選にも選ばれた豊富な湧水をはじめ、自然の恵みは溢れんばかり。この島では、シンプルながら心を満たす豊かな暮らしが営まれている。
島の真ん中にあり、島の人々の中心でもある隠岐神社では、「夜の隠岐神社まいり」が実施されている。地元の島ガイドの案内に導かれ、竹灯篭の明かりに包まれる夜の隠岐神社へ。美しく静まり返る神前で自分自身を深く見つめ、その想いをお守りにして持ち帰りたい。
夜の隠岐神社まいり
地元では「ごとばんさん」の名でも親しまれる隠岐神社。2021年に後鳥羽上皇来島800年の記念年を迎えた。後鳥羽院に関わる伝承を、次の100年、そして、その先の未来へも繋ぐべく、2022年以降も様々な行事が予定されている。
催行期間
4月~12月
所要時間
約3時間
出発時間
ご予約時に相談
料 金
大人1名の場合 1名 19,500円
大人2名の場合 1名 10,000円
大人3名の場合 1名 7,000円
※人数により変動
催行期間
3月20日~10月31の毎日
所要時間
1時間30分
出発時間
①便:08:30~09:50
(※7月9日〜8月31日)
②便:10:50~12:10
③便:13:00~14:20
④便:15:00~16:20
料 金
大人 3,000円
小人 1,500円
催行期間
通年
所要時間
約60分
出発時間
季節によって時間帯が変動します。
料 金
1名6,500円〜8,500円
※2名〜の催行
※夜の隠岐神社まいりはコロナウイルスの影響により受付を一時休止しております。
隠岐の島旅3日目、隠岐諸島の有人島では最も小さい知夫村へ。次世代の自転車「E-Bike」をレンタルして、想像を超える美しい自然をめぐる。大地を踏みしめるようにペダルを漕ぎ、 風を切って走る爽快感はやみつきに。強力な電動アシスト付きのE-Bikeなら、長距離や坂道もお手の物だ。
「河井の湧水」や「岩牡蠣のいけす」などに立ち寄りながら、知夫里島で一番高い山「赤ハゲ山」を目指すのがおすすめコース。頂上の展望台には視界をさえぎるものが何もなく、360度の大パノラマが広がる。カルデラ湾に浮かぶ島前、島後の島々をはじめ、島根半島や鳥取県の大山を望むこともできる絶好のビュースポット。
レンタル E-Bike
E-Bikeの旅にはGPS地図アプリ「YAMAP」が便利。現在地・ルート・所要時間等が確認できるので土地勘がなくてもセルフガイドツアーが楽しめる。好きなところで立ち止まり、思う存分、むきだしの自然に触れられる。
E-Bikeで巡りたいジオサイトの一つ「赤壁(せきへき)」は、火山の噴火と海岸の浸食により長い年月をかけて創られた大迫力の断崖。知夫里島の西海岸に約1kmも続き、その高さと大きさで圧倒的な存在感を放っている。
赤壁
何度もくり返した噴火は、崖の断面に美しいしま模様を作り、何層何色にもなった岩肌が、母なる大地の記憶を物語っている。「赤壁」の名の由来になっている鮮やかな赤褐色は、噴火によって飛び散った溶岩が空気中で酸化し降り積もったもの。火山活動の証、地球が生きている証がここにある。
天候や季節、時間帯によって赤壁の表情は異なり、晴れた日はもちろんのこと、雨が降ると赤褐色の岩肌がより際立って鮮やかに。断崖の上の草原では放牧された牛が自由に寛ぎ、のどかな島時間が流れている。
午後は中ノ島・海士町に戻り、海中展望船「あまんぼう」で神秘的な海の世界を体験。海士町の海を水上と水中の両方から楽しめる半潜水型展望船で、名所「三郎岩」など、見どころをぐるっと巡る。
海中展望船あまんぼう
あまんぼうの潜水ルートは、日本海屈指のダイビングスポットとなるほど海水が澄み、海藻や魚類が豊富。魚たちが群れをなして泳ぐ姿や、大きな海藻がゆらゆらとゆれる様子を眺めながら、未知なる海中散歩が楽しめる。
船内には案内のガイドさんがいて、海士町の地形の話やデッキから海中展望室に降りるタイミングをアナウンスしてくれる。展望室の小窓から海を観察している間も、見どころや豆知識をわかりやすく説明してくれて、船を降りる頃にはちょっとした海博士になった気分だ。
2021年7月1日、「隠岐世界ユネスコジオパークの泊まれる拠点」として、「Entô (エントウ)」が誕生。「地球に、ぽつん」をコンセプトに、「ないものはない」という新しい贅沢を提案する、日本初のジオホテルだ。
Entô Walk
Entôでは、島内外問わず誰でも参加できる「Entô Walk」を無料で開催。ジオパークのスタッフが大地の成り立ちや営み、隠岐独自の生態系を解説したり、ふとした疑問にも答えてくれる。時には、Entôの建物の周りをぐるっと散策しながら、景色の中に見えるものを解説したり。明日訪れる場所の予習をするのもよし。これまでの旅を振り返るのもよし。隠岐を知れば世界が見える、思わぬ発見との遭遇があるかもしれない。
Entô Walk
ジオパークの拠点施設であるEntôには、地球と隠岐の魅力を学べる展示室(入場無料)や窓一面にジオ・スケープが広がるジオラウンジも併設。ぽつんと置かれたソファに腰掛け、ゆったりと過ごすこともできる。
※Entô Walkは季節・天候・参加される方に応じて内容が変わります。
催行期間
通年 ※年末年始を除く
所要時間
3時間~
出発時間
8:30~17:00の時間帯でお貸出し
料 金
3時間 2,400円~ 1時間毎 800円
1泊2日 7,500円
催行期間
4月1日〜10月31日
所要時間
約50分
出発時間
午前便:10:20~11:10
午後便:13:30~14:20
※GW期間中(4/29~5/8)は8:40発、14:40発も運行予定
※5/9以降は状況に応じて便数が決定します
料 金
大人 2,000円
子供 1,000円
幼児・未就学児無料
催行期間
通年
所要時間
30分~45分
出発時間
4月~11月 16:30
12月~3月 16:00
料 金
無料
※季節、天候、参加される方によって内容が変わります
最終日は、島後(隠岐の島町)へ戻り、隠岐ジオパークの洞窟カヤックツアーに参加。約100mの高さがある断崖絶壁や隣の島々の景色を横目に見ながら、冒険心をくすぐる海岸洞窟を目指す。ガイドが漕ぎ方などを丁寧にレクチャーした後に海に出るため、初心者でも安心だ。
洞窟カヤック
隠岐諸島の魅力の1つは、数百万年前の大規模な火山噴火によって形成された迫力ある海岸の景観。ありのまま残っている自然と一体になって、隠岐の絶景を五感で体感するひととき。大地の息吹、海の色、吹き抜ける風、島の香り。五感を研ぎ澄まし、心をふるわせ、隠岐の自然をまるごと感じてみたい。
洞窟カヤック
2時間のカヤックツアーのあと、心地よい疲労感を味わいながら向かうは隠岐の島町の西海岸にある那久岬(なぐさき)。ここは潮騒の調べを聞きながら水平線を見渡せる絶好のビューポイントだ。神功天皇が立ち寄られたという伝説が残り、古くから隠岐島海路の要所でもあったという。
那久岬
展望台横には灯台として使われていた灯篭が今でも残っており、那久の人々が毎日火を灯した当時の様子を偲ぶことができる。岬の先端へと伸びる遊歩道には、隠岐の旅ではもうお馴染み、放牧牛がのんびりと草を食む牧歌的風景が広がっている。
島前の島々、遠くの島影見つめ、これまでの島旅に思いを馳せるひととき。「いつかまた帰ってくるその日まで」と、目の前の絶景を心に刻み、それぞれの日常へと戻る。
隠岐が初めての方、ジオパークってなに?という方におすすめの展示施設。隠岐の島の成り立ちや自然環境が詳しくわかり、隠岐の理解を深めます。フェリーターミナルに隣接し、空き時間にもご利用いただけます。
地球にぽつんと浮かぶ隠岐のジオ・スケープ(=地球の⾵景)と、島で暮らす⼈々との温かな出会い。都会から離れたこの地で、「ないものはない」という新しい贅沢、新しい旅のカタチを提案します。