不退寺とは、奈良県の奈良市にある真言律宗の寺院です。本尊は聖観音菩薩で、業平観音とも呼ばれることがあります。寺号は正確には不退転法輪寺であり、山号は金龍山です。交通アクセスはJR大和路線奈良駅、もしくは近鉄奈良駅から奈良交通バスに乗車し、「一条高校前(不退寺口)」で下車します。そこから歩いて7分です。近鉄大和西大寺駅からの場合にも奈良交通バスに乗車し、「不退寺口」で下車することができます。拝観時間は決まっており、午前9時から午後5時までとなっています。
歴史
不退寺の歴史は大同4年、西暦で809年に平城天皇が譲位し、この場所に隠棲したことが始まりとされています。「萱の御所」と称され、平城天皇の皇子「阿保親王」、その息子である在原業平もここで暮らしたとされています。伊勢神宮に参拝したした在原業平が自ら聖観音像を刻み、阿保親王の菩提に弔い、不退転法輪寺としたことが、この寺院の始まりだったのです。不退寺の近辺から平安時代の古瓦などが出土していることから、創建がそのころであることは間違いないようですが、以降中世までの沿革は明らかになっていません。
見どころ
不退寺には本堂、多宝塔、南門など数多くの重要文化財が存在します。それらが不退寺最大の見どころとなるでしょう。本尊である木造聖観世音菩薩立像ももちろん重要文化財に指定いるのですが、在原業平が彫ったとされているにも関わらず、その様式は平安時代中期のものであり、実際にはそのころの作ではないかといわれています。元来は三尊像の脇侍として造立されたものであると考えられており、文化庁が保管している木製聖観音菩薩立像がこの仏像と対をなしていたともみられています。