神奈川県鎌倉市山ノ内にある寺院で正式には瑞鹿山円覚興聖禅寺と号します。舎利殿と洪鐘は国宝指定も受けています。開基は北条時宗、開山は無学祖元、尊は宝冠釈迦如来です。文永の役の戦没者の菩提を弔うため建設されましたが、その後弘安の役での戦没者の慰霊の役目も果たしました。殉死者を敵味方区別なく、冤親平等に弔うために円覚寺建立したことから元寇で戦死した日本の武士と元軍(モンゴル・高麗等)の戦士が、分け隔てなく供養されています。
歴史
鎌倉幕府8代執権・北条時宗が弘安元(1278)年から文永の役の戦没者の菩提を弔うためと、禅道を広めたいと願い創建を始めました。弘安5(1282)年に完成し中国僧の無学祖元(仏光国師)を開山に招きました。円覚寺という寺名の由来は、建設の際土を掘ったところ石の箱が出てきて中から中国・唐時代の「円覚経」というお経が出土したことからこの名がつけられたといわれています。円覚寺は室町時代から江戸時代幾たびかの火災に遭っています、また仏殿は大正12(1923)年の関東大震災で倒壊しましたが、昭和39(1964)年に再建されています。
見どころ
神奈川で唯一の国宝である舎利殿や関東で最も大きい洪鐘があり、薬師堂にも国指定重要文化財の厨子があります。円覚寺山門建立の時、天明年間 1781~88年に使われた長さ48尺の物差しが現存しています、また境内の茶室烟足軒は川端康成の小説『千羽鶴』に登場する茶室のモデルになったことでも知られています。帰源院は夏目漱石や島崎藤村が参禅したことで知られ、漱石の小説『門』に登場する一窓庵のモデルでもあります、境内には漱石の句碑もあります。観光だけでなく、坐禅会も定期的に行われているので初心者の方でも週末などに気軽に坐禅を体験できるようです。