サン・ジェンナーロのカタコンベは、ナポリの守護聖人ジェンナーロが一時的に奉られていた地下墓地です。サン・ジェンナーロは、ナポリの町をあらゆる災害から守ると言われている聖人です。西暦3世紀に実在した人物で、日本ではラテン語名で聖ヤヌアリウスとも呼ばれています。ナポリの司教でしたが、キリスト教を弾圧する当時のローマ皇帝ディオクレティアヌスの迫害を受け、ナポリ郊外のポッツォーリで処刑されてしまいました。その後遺体はナポリに移され、そこで守護聖人となりました。
歴史
カタコンベとは、初期キリスト教時代の地下墓地のことで、街の城壁外に設けられていました。サン・ジェンナーロのカタコンベも旧市街の中心から離れて、カポディモンテの丘の途中にある、教会の裏手に入口があります。サン・ジェンナーロの遺体がここに埋葬されたのは、死後から1世紀ほどたった4世紀でした。その後、遺体は生誕地のベネヴェントに移され、今はサン・ジェンナーロの墓穴の跡と、5世紀にフレスコで描かれた最古の肖像画が残されています。
見どころ
最初にこのカタコンベが設けられたのは、西暦3世紀です。地下墓地と言っても実際は丘の中腹になるので、地下を掘り進んだわけではなく、丘にトンネルを掘っていった感じです。10世紀頃まで実際に墓地として使われてきました。4世紀にサン・ジェンナーロの遺体が、このカタコンベに埋葬されたことから「サン・ジェンナーロのカタコンベ」と呼ばれています。しかし、831年に生誕地のベネヴェントへ遺体を移してしまったので、現在残っているのは、遺体のないサン・ジェンナーロの墓穴跡と、5世紀にフレスコ画で描かれた最古の肖像画だけです。