ドゥオーモ(サン・ジェンナーロ)はナポリ大聖堂とも呼ばれ、イタリア南部の大都市ナポリの旧市街にあります。旧市街は「ナポリ歴史地区」として世界遺産に登録されています。その歴史地区の中でも信仰を集めているのが、聖ジェンナーロを祭るドゥオーモです。ドゥオーモには、聖ジェンナーロの血液が入った小さな壺が納められており、毎年5月の第一土曜日と9月19日には、壺の中で乾ききっているはずの聖ジェンナーロの血液が液状化する奇跡が起こります。この奇跡が起こらない年はナポリに災害が起こるという言い伝えがあります。
歴史
ドゥオーモの歴史は14世紀初頭にさかのぼります。ナポリ王となったフランスのアンジュー家のカルロ1世がドゥオーモの建設を命じ、彼の孫のロベルト賢明王の時代の14世紀初期に完成します。ドゥオーモは5世紀の初期キリスト教の古いバシリカの基礎の上に建設され、バシリカ建築の跡が見られます。また、中央扉は1407年に14世紀のライオン像とティーノ・ディ・カイマーノ作「聖母子像」を再利用して作られ、ファサードによって1876年にネオ・ゴシック様式に改修されました。
見どころ
見どころは、まず、ドゥオーモ内部のテゾーロ・ディ・サン・ジェンナーロ礼拝堂が挙げられます。この礼拝堂は、1527年ペストが大流行した後に、市民の祈願により建築されたものです。ギリシャ十字のブランとバロック様式を用いて建てられた芸術作品です。聖ジェンナーロの血液が入った小壺は、隣の鉄格子の部屋の奥に保管されています。そのほか、身廊上部の大窓の間にはルカ・ジョルダーノ作の「聖人」が描かれ、中央祭壇にはピエトロ・ブラッチ作の「被昇天の聖母」が祭られています。