貿易陶磁博物館(海のシルクロード博物館)は、ベトナム中部にあるクアンナム省の都市ホイアンにある博物館です。ホイアンは古い港町で、中国人街を中心に古い建築物が今でも残り、「ホイアンの古い町並み」としてユネスコの世界文化遺産に登録されています。そのチャンフー通りの一角にこの博物館はあります。
歴史
観光客でにぎわうチャンフー通りにある、昔からある民家を改造して作られている、貿易陶磁博物館は、別名「海のシルクロード博物館」とも言われており、主にホイアン市街とその近海で発掘された品々を展示しています。ホイアンは、16世紀末以降にポルトガル人・オランダ人・中国人・日本人が次々に渡来し、国際貿易港として繁栄していました。江戸幕府との約30年にわたる朱印船貿易のうち71隻が入港し、その後日本人街や中国人街が形成されていきました。
見どころ
博物館の中に入ると、ホイアン市街地の美しい町並みを写したホストカードが販売されています。奥に進むと、朱印船から出土したとみられる、日本の陶器や陶磁器、貨幣などが展示されており、日本との親密な貿易交流の様子やこれまでの歴史がよく分かります。日本の陶磁器と中国の陶磁器が展示されていますが、見比べてみると日本のものはシンプルですが、中国のものは派手な模様が施されているのに気付きます。他国の文化の影響を受けてきたベトナムの陶磁器は、最初は日本文化寄りのシンプルなものが多かったのですが、徐々にカラフルな中国寄りの文化に移行していったことが、こうした陶磁器などからも分かり、とても興味深いものが見られます。