バンテアイ・チュマールは、バンテアイミエンチェイ州にある仏教寺院です。タイから陸路でカンボジアへ入国する際、ポイペトという国境の町を通りますが、そのポイペトもこの州にあります。アンコールワットがあるシェムリアップからバンテアイ・チュマールまでは約160km、季節や道路状況にもよりますが、車で3時間ほどかかります。バンテアイ・チュマールは、12世紀~13世紀の初め、ジャヤヴァルマン7世が息子を弔うために建造したと言われており、バイヨンと同じ様式の建築や装飾が随所に見られます。
歴史
ジャヤヴァルマン7世はアンコール朝全盛期の王で、1181年にチャンパ軍を破り王位に就きました。仏教を篤く信仰し、アンコール・トムのバイヨンなど多くの仏教寺院を建造しました。タ・プロームやバンテアイ・チュマールもその中の一つです。また、多くの病院を建造したことでも知られています。この王が亡くなったあと、アンコール朝は衰退を始めることになります。
見どころ
広大な敷地には環濠がめぐり、回廊のレリーフにはクメール軍とチャンパ軍の戦闘の様子なども描かれています。バンテアイ・チュマールの一番の見どころは、西塔門近くにある千手観音のレリーフです。千手観音のレリーフは現在2つ残っています。このような観世音菩薩のレリーフは非常に珍しく、見応えも十分です。遺跡は崩壊が進み、足場の悪い所もありますが、近年地雷撤去や整備が進められ、観光客が訪れることのできる場所となりました。普段は観光客も少なく、カンボジアの自然をたっぷり感じながら、ゆったりと見学できます。