マンスール門を入って、右へ。道なりにしばらくいくとある建物が、クベット・エル・キャティンで、ムーレイ・イスマイルが外国大使との接見したり、様々な儀式を観覧したりする場所として使われていました。このクベット・エル・キャティンの敷地から見て、真正面にある、3つのアーチのあるアブ・カーリー門をくぐって、左手に見えるのが、ムーレイ・イスマイル廟です。
歴史
17世紀、アラウイー朝の後継者となったムーレイ・イスマイルはメクネスに都をおきました。同時代に君臨したフランスのルイ14世に憧れメクネスを第2のベルサイユにしようと都市の建設を進めます。次々と巨大な城壁、壮大な門、モスク、穀物倉庫、カスバなどを建て、後にはルイ 14世の娘との結婚も望んだそうです。その願いは残念ながら叶わず、ルイ14世は娘のかわりに置時計を4つムーレイ・イスマイルにプレゼントしました。その時計は現在も、ムーレイ・イスマイル廟の中に置かれています。
見どころ
マンスール門とともに、世界遺産である古都メクネスで最も重要な見どころです。イスラム文化の最高傑作とも言われ、モロッコ国内で、唯一、非ムスリムでも入ることのできる廟です。入口は狭く、いくつかの部屋や中庭を通りぬけて、大理石の水盤が真ん中にあるパティオに行きあたると、その先は靴を脱いで見学する空間です。正面の部屋では、ムスリムたちがお祈りをしているところを見ることができます。隣のムーレイ・イスマイルが眠る部屋は、外からのぞくことが出来ます。(非ムスリムはこの部屋に足を踏み入れることはできません。)壁から天井にかけての精緻なモザイクや、しっくい彫刻の素晴らしさ。古都メクネスの最大の見どころと言っても過言ではありません。